だからといって、ハナから諦めているわけではありません。調教師として、繁殖に戻すときに桜花賞の金看板を背負わせてやりたいと強く思います。まだ4月ですが、今年の3歳馬についておさらいをしてみましょう。
厩舎全体として見れば成績自体は決して悪くない。牡馬は半数以上が勝ち上がっているし、牝馬も2勝したサトノワルキューレなど順調に勝ち上がっています。しかし牝馬の場合、なにがなんでも桜花賞へとは考えない。やはり調子の維持が難しいのです。
たしかに、一つ勝った時点でGIへの青写真みたいなものは見えてきます。ただし一度使ってはしっかりと休ませることを基本にします。厩舎事情として、馬を入れ替えなければいけないタイミングも考えなければならない。こちらの判断以外にも、放牧場からの進言もあったりする。
そういったやりくりが厩舎の腕の見せどころになるわけですが、急いで次走に間に合わせようとは思わない。このへんの判断は慎重です。力のある牝馬の場合、桜花賞こそという思いを、じっと抑え込むこともある。馬の体が安定してよくなることが最優先ですね。
オーナーも桜花賞への思いが当然強いはずで、一昔前には「なんとか間に合わせてくれ」といった声も大きかった。しかしそんなときでも、「はい!」と言っておきながら、決して焦りませんでした。面従腹背です(笑い)。