高校に足を運べば、そこに学校名が見えていても、孫悟空の息子の悟飯やビーデルが通っていたオレンジスターハイスクール。坊主の子供と触れ合えば、坊主頭がトレードマークのクリリン。農園を見れば、悟空の農場で栽培している種をまくとすぐ育つヨカッタネ大根。すべてをドラゴンボールに登場するものへ変えてしまう。
延々と繰り広げられるドラゴンボールを基にした笑いは、日本人のほとんどがドラゴンボールの知識を持っているからこそ成立する。ボケ続けるDB芸人も尊敬するが、それ以上に笑いの原典と漫画を描いた鳥山明の偉大さったらない。
そして、個人的に最も笑えたのがDB芸人だから許される横暴さ。ベジータ、フリーザ、野沢雅子だから許される発言の数々。
『悟空』という名前の餃子店を訪れた際も「当然、オラ達はタダで食わせてくれるんだろ」とアイデンティティ田島。ピュアすぎて無礼なこともあるが憎めない孫悟空というキャラクターがのっているから笑える。
ロケ中、食レポがヘタだと責められるBAN BAN BAN山本は「殺しますよ」と慇懃無礼に反論。TVでなかなかお目にかかれないキツい発言だが、誰に対しても常に口調は丁寧だが、冷酷無比で残忍と知られるフリーザなら大丈夫。そして、ベジータを演じるR藤本は共演者だけでなく素人にも強めの態度だ。人の指図を受けるのが嫌いでプライドが高いキャラクターそのままに誰でも「貴様」呼ばわり。地元のアイドルと絡めば、「下品な女どもだ!」と吠える。
「ドラゴンボールのキャラだから許される」ことを利用して暴れまくる3人は、見ていて清々しい。タモリが寺山修司の思想をモノマネしたのと同様に、3人もキャラの思想に染まる。DB過剰な世界になりそうなところを、見浦のツッコミが現実との架け橋となり、ギリギリで留める。ボケとツッコミで番組進行するスタイルは、日本人の誰もが知る笑いの作り方。よって、ドラゴンボールを知らない人にも面白さが伝わる。
一見、どこが宣伝になるっているのか分からない番組だが、栃木を勝手気儘に歩くDB芸人を見ていると「行ってみたいな」そんな気持ちになってくるから摩訶不思議アドベンチャー! 斬新かつ面白い、ナイスなPR番組だと思った。