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谷川俊太郎の詩が愛され続ける理由は「恥じらい」にある

 谷川俊太郎は現代を代表する詩人。小説家と違って詩人は詩だけではなかなか暮してゆけない。大学の先生や会社員をしながら詩を書く。そんななか、谷川俊太郎は、詩だけで生きている。平易な日常の言葉で、深い生の喜びや悲しみを語るから読者が多い。

『詩人なんて呼ばれて』(新潮社)は、読売新聞の編集委員である尾崎真理子が聞き手になり、詩人が来し方を語る。

 尾崎真理子は二〇一四年に出版した『ひみつの王国 評伝石井桃子』(新潮社)で高い評価を得た。綿密な取材、丹念な資料の読み込みで定評がある。

 本書も、ただのインタビューに終らず、章ごとに谷川俊太郎論が添えられ、谷川の詩の特色、現代詩のなかでの位置づけが的確に論じられ、大きな現代詩史になっている。

 さらに、哲学者の谷川徹三という偉大な父を持ったことの重み、三人の女性との結婚と離婚についても言及される。「詩人」は同時に「子」であり「夫」であり、また「父」にもなる。尾崎真理子は、谷川俊太郎の全容をとらえようとしている。構えが大きい。

 谷川俊太郎は高校時代から学校が嫌いで、大学には進学しなかった。

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