国内

小中学校で増える「常勤講師」 士気低下が蔓延する背景とは

公務員の非正規問題も深刻化している

 新学期がスタートして間もなく1か月。公立の小中学校では社会人になりたての新米教師や、他校から異動してきた初顔合わせの教師が受け持つクラスで勉強している子どもたちも多いだろう。

 そして、近年増えているのが、教員免許を持ち、担任や部活動の顧問をするなど正規職員とまったく同じ仕事をしながらも、身分は臨時に採用された非正規の「常勤講師」の存在だ。

 臨時教師といえば、かつては産休など長期休暇をとる教員の“穴埋め”的なイメージが強かったが、現在は1学年のうち複数のクラス担任が“フルタイム”で働く常勤講師というケースも珍しくない。

 文部科学省の調べ(2017年5月時点)では、全国の公立小中学校にいる常勤講師の数は4万2792人。教員定数に占める常勤講師の割合は平均で7.4%だが、都道府県によってバラツキがあり、沖縄、三重、長野は10%を超えている。

 そもそも、なぜ非正規の教師がここまで増えたのか──。ひと言でいえば「地方自治体の人件費削減」に拠るところが大きい。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。

「公立小中学校の給与など人件費は、以前は国と都道府県が2分の1ずつ負担する仕組みになっており、国が定めた定数内の教員はすべて正規職員とすることが法律で定められていました。

 しかし、地方分権改革による都道府県の権限強化のため、2004年から定数上算定された負担金を国が都道府県に交付し、都道府県はそのお金を教員人件費の枠内で自由に使えるようになったのです。その代わり、国の負担は3分の1に減らされました」

 つまり自治体の裁量権が大きくなったことで、正規職員の採用を抑え、その分、給与の安い講師を大量に採用して各校に配置できるようになったというわけだ。この仕組みは財政難に苦しむ自治体の人件費削減効果のほか、教員不足の解消や学力アップを目的とした少人数クラスの設置など、きめ細かな教育が実現できる策として期待されてきた。

 だが、実際の学校現場では、きめ細かな教育とは大きくかけ離れた問題も起きている。首都圏の公立小学校に低学年の子どもを通わせている40代の母親がいう。

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン