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2018.04.22 11:00  マネーポストWEB

安倍首相 日米首脳会談の評価は100点満点で30点程度か

日本にとって今回の日米首脳会談の成果は?(Getty Images)

 4月17~18日にフロリダで開催された日米首脳会談の評価は、日本にとってせいぜい30点程度で、とても合格点には届きそうにない。訪米前の安倍晋三首相は、今回の日米首脳会談に期するものがあったに違いない。国内では多くの問題を抱えているからだ。

「森友問題」「加計問題」「財務省の文書改ざん問題」「防衛省のイラク日報問題」「財務次官のセクハラ問題」── 一時期に、まとめてこれだけの問題を抱えている政権も珍しい。

 ほとんどの問題について、「誰の責任なのか?」、そして「誰が、どのように責任を取って決着を付けるのか?」、それが明らかになっていない。事実の解明が不透明なままなので、いたずらに時間が経過して、落とし所が不明のままだ。

 そのようなタイミングで日米首脳会談を迎えた。安倍首相は、上述の多くの問題を凌駕するほどの外交的な結果を求めて、首脳会談に臨んだと言えよう。今回の大きなテーマは、「北朝鮮問題」「日米貿易問題」の二つだ。

「北朝鮮問題」ではある程度の成果を得た、と言える。日米は共同して北朝鮮の非核化へ圧力を継続することを確認した。そして、トランプ大統領は6月上旬までに開催予定の米朝首脳会談で拉致問題を提起することを約束し、「日本のために最善となるよう、ベストを尽くす」と明言した。

 北朝鮮の拉致問題の解決に向けて、トランプ大統領と約束できたことは、大きな前進と評価する。ただし、「北朝鮮問題」は日本が米国にお願いするだけで解決できるはずもない。

 北朝鮮は既に中国と首脳会談を行い、韓国との首脳会談を控えている。当初の5月から6月にずれ込みそうな状況にあるとはいえ、米国とも首脳会談の予定がある。

 そうした中で、現在の日本は対北朝鮮外交で「蚊帳の外」状態だ。日本は、問題の解決に向けて、できることを自らする必要がある。トランプ大統領に、拉致問題を提起してもらうだけでは、何も解決できないのではないか、と危惧している。

◆日米貿易問題のイニシアチブは米国に

 もう一つのテーマである「日米貿易問題」だが、この件についての評価は全く零点。米国が実施している鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置に関して、欧州連合(EU)やカナダなど7カ国・地域は関税の適用を一時的に猶予しているが、日本と中国には適用となっている。

 安倍首相は、他の同盟国と同様に、適用除外となるように交渉を進めるつもりだったと思われるが、会談後の会見で、トランプ大統領は日本の鉄鋼・アルミ製品を適用除外にすると明言しなかった。安倍首相の思惑は外れた。評価に値しない。

 そして、安倍首相は、改めて米国を環太平洋連携協定(TPP)に引き入れることを目論んでいた。しかしトランプ大統領は、それを明確に否定した。そして、日米間で新しい通商交渉を開始することを明らかにし、その上で、二国間貿易協定がより望ましいとして、自由貿易協定(FTA)を推奨した。

 トランプ大統領はまた、日米の貿易不均衡に言及し、その解消に向けて協議する旨、強調した。「日米貿易問題」に関して、米国がイニシアチブを取ったことは明らかだ。この点でも、安倍首相の思惑は外れ、評価すべきところはないだろう。

 今後、日米貿易不均衡を解消するために、米国から「何かしらの購入」を強いられることも予想できる。米国から買うもので想像が付くのは、「軍事的な製品」「牛肉」「農産品」などだろう。その中で、日米貿易不均衡を解消できる程、高額になるものは、一つだけだ。

 総合的に今回の日米首脳会談を評価すると、「北朝鮮問題」で多少の得点は認められるが、「日米貿易問題」では全く得るところが無かった。100点満点で判断するならば、30点程度が相当だろう。

 安倍首相は、起死回生、一発逆転の満塁ホームランを狙って訪米したのだろうが、かえって、足を引っ張るような結果となったのではないか。

(2018年04月20日東京時間01:15記述)

◆松田哲(まつだ・さとし):三菱信託銀行、フランス・パリバ銀行、クレディ・スイス銀行などを経て、オーストラリア・コモンウェルス銀行のチーフ・ディーラーとして活躍。現在は松田トラスト&インベストメント代表取締役として外国為替や投資全般のコンサルティング業務を行う。HPは「松田哲のFXディーラー物語」(http://matsudasatoshi.com/)。メールマガジン「松田哲の独断と偏見の為替相場」も発信中。

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