政府は新しい歴史教科書の執筆基準の試案で、「北朝鮮政権の全面的南侵で勃発した6・25(韓国)戦争」という表現を「6・25(韓国)戦争」に変えている。この指針通りになるなら、学生たちは戦争を誰が起こしたのかわからない。また、「北朝鮮体制の世襲」「北朝鮮市民の人権」という表現も抜いた。北朝鮮の首脳部が気に入らないと思うようなことは歴史教科書に入れないということだ。
若者の歴史教育は、国家のアイデンティティー形成に大きく影響するだけに、慎重な舵取りを求めたい。
【PROFILE】朴承ミン/時事通信の元ソウル支局記者。長年、北朝鮮問題と韓国政治を取材。その間に平壌と開城工業団地、金剛山など北朝鮮の現地を5回ほど訪問取材。現在、韓国と日本のメディアに寄稿している。
※SAPIO2018年3・4月号