グラビア写真界の第一人者、渡辺達生氏(69)が“人生最期の写真を笑顔で撮ろう”とのコンセプトで立ち上げた『寿影』プロジェクト。渡辺氏は、自然な笑顔を引き出すべく、撮影する人に「一品」を持ってきてもらって、それにまつわるエピソードを聞きながら撮影する。
作家で元東京都都知事の猪瀬直樹氏(71)が持ってきたのは、東京五輪誘致の際に車いすテニスの国枝慎吾選手とラリーしたテニスラケットだ。
都知事時代、東京五輪の招致委員会会長に就任した猪瀬氏。国際オリンピック評価委員会の会場視察では、国枝選手とのラリーに臨み、評価委員の心を掴んだ。
「国枝さんがトスを上げて、僕がスマッシュを決める演出。そのとき使ったのがこのラケット。元々テニスはやっていたので、スポーツ好きをアピールするには格好な策だと考えた」
熱心に練習したスマッシュ同様、五輪招致も見事に決まった。
テニスのほか、体を鍛えるために64歳の誕生日から走り始めた。その1年3か月後には6時間40分で東京マラソンを完走。今も毎月50キロのジョギングを自らに課している。
「老けるのは心がけ次第。少年時代のような好奇心を持って物事に取り組めば、アンチエイジングのホルモンが出るんだよ」
その言葉を証明するように先日、女優で画家の蜷川有紀(57)と熟年婚約を発表。終活ならぬ婚活に成功した。
【プロフィール】いのせ・なおき/1946年、長野県生まれ。作家。元東京都知事。36歳で作家デビューし、1987年『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。婚約記念の共著『ここから始まる 人生100年時代の男と女』が集英社より5月16日に発売。
◆撮影/渡辺達生、取材・文/スペース リーブ
◆小学館が運営する『サライ写真館』では、写真家・渡辺達生氏があなたを撮影します。詳細は公式サイトhttps://serai.jp/seraiphoto/まで。
※週刊ポスト2018年5月18日号