国内

隆盛極める出会い系アプリは現代の“お見合いおばさん”

“お見合いおばさん”の役割果たす出会い系アプリ(撮影/アフロ)

 清濁を併せ呑んで隆盛を極めるマッチングアプリ。その背景には、かつては当たり前だった交際と結婚方法の衰退がある。大正大学心理社会学部准教授の田中俊之さんが指摘する。

「そもそも日本では、職場などのコミュニティーで出会ったり、知り合いの紹介によってカップルが成立していました。しかし、今は非正規雇用化が進んで、職場に昔ながらの一体感がなくなったり、都市化により、地域コミュニティーが崩壊したため、出会いのきっかけが少なくなりました。地域社会が崩壊して人間関係が希薄になると、昔ながらの世話焼きな“お見合いおばさん”も姿を消し、出会い系アプリのニーズが急上昇しました」

 婚活コンサルタントの澤口珠子さん(40才)は結婚後、新婚旅行を兼ねて全国47都道府県を巡り、各地の結婚支援の状況を見てきた。実際、東京・大阪など一部の首都圏は、お見合い文化が廃れ、出会い系が浸透していた。一方、都心ではあまり見られなくなった「お見合いおばさん」の文化が、未だに活発な地域も地方には残っていたという。

「そう行った地域では自治体の協力もあり、お節介なお見合いおばさんが活発で、リアルな場でのマッチングが盛んだったりしますね。しかもゴールインするカップルも結構多いんですよ」

 九州在住の八坂洋子さん(仮名・62才)は3年前に長男(35才)がお見合い結婚した。

「親戚にお見合いを勧められて結婚しました。物静かな長男の性格を知っていたから逆に活発な嫁さんを紹介してもらい、互いの故郷や趣味も似通っているので夫婦仲は円満です。田舎なので新参の嫁さんだと人間関係がうまくいかなかったと思うので、いい人を紹介してもらえて幸運でした」(八坂さん)

 一方で八坂さんの次男(32才)は学生時代の恋人と恋愛結婚したが、わずか3年で離婚してしまったという。

「一目ぼれでつきあい始め、結婚した次男は東京でSEとして働いていますが、忙しい共働きですれ違いが多く、結婚前の理想と実際の結婚生活が全く違ったそうです。男ばかりの職場で新しい出会いもないようで、親としては心配です」(八坂さん)

◆お見合い結婚の利点

 今の世の中、「恋愛」と「結婚」がうまくマッチしないことに多くの人が気づき始めていると田中さんが指摘する。

「男女平等が進んで共働きが増え、結婚後の夫婦は家事や育児を分担する“夫婦平等時代”になりました。しかし恋愛中は“男らしさ”や“女らしさ”が優先されるため、平等な関係を築けず、結婚してから夫婦関係が破綻するケースが増えています。

 自由に恋愛して結婚したら失敗したというケースが増えたので、結婚前にふさわしい相手を見極めようという動きが生じて、お見合いが復権しつつあります」

 事実、全日本仲人連合会によれば、恋愛結婚の離婚率は40%だが、お見合い結婚の離婚率は10%にすぎない。恋愛か見合いかで実に4倍もの差があるのだ。

関連記事

トピックス

伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン