佐藤:ポスト平成の天皇制は、人効説と事効説どちらの側面が強く出るか。やはりここで注目すべきは皇太子です。
今上天皇は戦後民主主義、平和を尊重しましたが、皇太子はどうか。今上天皇は沖縄や被災地にひんぱんに足を運びました。でもそれは今上天皇個人のキャラクターと結びついているから公的行為として皇室典範に馴染むかは分からない。踏み込んで言えば、ポスト平成の天皇となる皇太子に引き継がれるかも分かりません。
●かたやま・もりひで/1963年生まれ。慶應大学法学部教授。思想史研究家。慶應大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。『未完のファシズム』で司馬遼太郎賞受賞。近著に『近代天皇論』(島薗進氏との共著)。
●さとう・まさる/1960年生まれ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主な著書に『国家の罠』『自壊する帝国』など。共著に『新・リーダー論』『あぶない一神教』など。SAPIO連載5年分の論考をまとめた『世界観』が発売中。
※SAPIO 2018年5・6月号