「1番の思い出は、羞恥心らと出演したコンサートである『ヘキサゴンライブ』。こんなに大勢の前で歌ったり踊ったりできるのか、と驚いた記憶があります。一方でクイズに答えるときは“ガチで正解しなきゃ”といつも緊張していました。ぼくらの“珍解答”はそんな焦りの中から出てきたのかもしれない」
そして現在はこれまでの人気クイズ番組が融合した新しい形になっている。
「今のクイズ番組は、『ヘキサゴン』のようなエンタメ要素と『アメリカ縦断ウルトラクイズ』(日本テレビ系・1977~1998年)のような正統派クイズ要素が融合したハイブリッド型です。視聴者は出演者の個性的なキャラクターを楽しみつつ、真剣にクイズに挑戦することもできます」(伊沢)
『クイズ$ミリオネア』(フジテレビ系、レギュラー放送は2000~2007年)などさまざまな番組で活躍した、元祖クイズ王・能勢一幸氏はクイズの難易度が格段に上がったと語る。
「過去のクイズ番組で鍛えられたクイズ王たちが今、問題を作成する側に回っており、問題の質も昔よりも洗練されています」
日本のクイズ番組が半世紀かけて育んできたクイズ文化が今、新しい形として花開いているのだ。その一方で芸人たちからは批判も少なくない。ビートたけしは、「芸人なら芸で勝負しろ」と一喝。伊集院光は「今のクイズ番組は芸人がボケづらい」と嘆く。それでもなお、視聴者がクイズ番組に心を躍らせるのはなぜなのか。前出の能勢氏が言う。
「ぼくはクイズ番組で出てきた映画や音楽など、クイズをきっかけに好きになったものがたくさんあります。クイズを通して、自分の世界を広げることができるのが、魅力なのではないでしょうか」
精神科医の片田珠美氏もこう分析する。
「本を読んだり勉強したりしなくても、テレビを見ながら楽しく学ぶことができるクイズ番組は、知的好奇心を満たしてくれます。勤勉な日本人にとって、それはある種の快感なのだと思います」
私たちの心から知的好奇心が消えない限り、クイズ番組は永久に不滅です!
※女性セブン2018年5月31日号