「適合性が悪い(=歯の形状に合っていない)銀歯では、二次カリエスと呼ばれる虫歯の再発が起きます。銀歯と歯の隙間から、細菌が侵入してしまうのが原因で、銀歯の装着に使用したセメントが溶けて隙間ができている場合もあります。

 虫歯が再発すると、再び歯を削らなければなりません。そうすると、神経に感染が起きやすくなります。感染した神経は抜くしかありません(抜髄)。神経を抜いた歯は、寿命が短くなります」

 虫歯になったら歯を削り、銀歯を被せる──そこに「歯を失う連鎖」が隠されていたのだ。

◆健全な歯まで削る「100年前の基本原則」

 日本の歯科治療ではこの負の連鎖を加速させる“古い常識”が定着してしまっている。

 虫歯の治療中に痛みを感じるのは“健康な部分まで削っている”からだとご存じだろうか。虫歯菌に感染した部分は、神経がダメになってしまっているので削っても痛くない。痛いのは周囲の感染していない部分まで大きく削ってしまうためだ。長崎大学歯学部の久保至誠准教授に健全な歯を削る理由を解説してもらった。

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