ライフ

【川本三郎氏書評】在日の目で見た韓国の現代史

【書評】『海を抱いて月に眠る』深沢潮・著/文藝春秋/1800円+税

【評者】川本三郎

『縁を結うひと』『ひとかどの父へ』などで在日コリアンの苦しみ、悲しみを描き続けている深沢潮(一九六六年生)の新著は、九十歳で逝った父親の生涯を、娘がたどる。

 彼女は四十歳になる。離婚し、不動産会社で働きながら八歳になる娘を育てている。在日であることを明らかにしている。兄がそのことを隠しているのと対照的。父親は心配し、兄のように日本国籍を取ればいいとすすめるが彼女は「大丈夫だよ、それぐらい立ち向かわないと。差別する人たちに屈しないよ」と堂々としている。

 父親はパチンコ店を経営していた。政治のことはほとんど語らなかった。在日として日本で生きてゆくためには、目立たないことを心がけたのだろう。

 父親は長い手記を残していた。それを発見し、読んだ娘は、はじめて父親の苦難の人生を知る。父親には重い過去があった。

 朝鮮半島では終戦により日本の統治が終ったあと、左右勢力のあいだで闘いが始まった。南の海辺の小さな町に住んでいた父親は、左派の活動に加わったため、警察や右派に追われた。そのため、仲間と日本へ逃げた。小舟で密航した。

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン