柴門:そうそう。女性の欲望の方が生理的な部分で好き嫌いがハッキリしていて、好きな男だったら触りたくて仕方ないけど、嫌いな男だったら指一本触れられてもイヤだという(笑い)。非常に敏感だし、ある意味“純”なんですよ。かたや男性は、女だったら誰でも平気で触れるんだから。
石田:そうなんですよね(苦笑)。セクハラにも根本的にそういう性差があると難しいかな、という気がします。女性は好き嫌いが敏感だといっても、飲み会なんかで、のべつまくなしにすごくボディータッチをしてくる女性もいるわけで。
柴門:あぁいます、います(苦笑)。
石田:別に好意がなくても、彼女たちは男性にボディータッチする。ああいう女性の行為もセクハラなんだけど、男の人はみんな大喜びしてしまうから、難しいよね(笑い)。
◆女性のピークは45才
石田:今、女性の欲望にスポットが当たり始めているというのは、僕自身、肌で感じます。2001年に書いた『娼年』が2016年に舞台化され、この春に映画化されて公開中ですが、あの作品は娼夫のリョウが女性と体を重ねながら、心の奥底に眠る女性たちの欲望や傷をやさしく癒していくという物語。女性側の欲望がクローズアップされてきているということの、ある意味で証なんじゃないかな。世の40代は“私なんかはおばさんだから”と思い込んでいる。でも柴門さんの世代からすると、40代の女性はまだ全然ピチピチですよね。
柴門:全然若者ですよ、本当に。石田さんもエッセイで、女性は45才くらいがピークだと。
石田:産婦人科で日本初の女性医師のかたと対談をした時、女性のピークは40代半ばから50代にかけてだとうかがったんです。日本は“お刺身文化”だから、素材感が生きるピチピチしたのが好きだけど、ステーキも煮込みも、熟成は素晴らしいよ。
柴門:40~50代女性の魅力は体だけではありません。ある程度の人生経験を重ねたことで許容範囲があることなど、精神面でも挙げられると思います。特に、出産などの経験をした女性は、我慢をして許す、相手を受け入れる、ということができるようになって許容範囲がとても広がる。人生経験が浅い若い子は、生真面目に相手を突き詰めてしまいますから。そうした人間的な成長は大人の女性ならではじゃないかと。