芸能

花形演芸大賞銀賞の鈴々舎馬るこ 時事ネタライブの醍醐味

鈴々舎馬るこの魅力は?

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、平成29年度花形演芸大賞の銀賞を受賞した「改作派」鈴々舎馬るこについて解説する。

 * * *
 古典落語に時事ネタや飛び道具的ギャグをガンガン投入し、パワフルに押しまくる芸風で爆笑させる「改作派」鈴々舎馬るこが、平成29年度花形演芸大賞の銀賞を受賞した。

 花形演芸大賞は国立劇場や国立演芸場などを運営する独立行政法人日本芸術文化振興会が若手芸人に与える賞で、大賞、金賞、銀賞の3段階。落語のほか色物も対象となる。

 この賞をもらうためには、まず国立演芸場が毎月開く「花形演芸会」に出る必要がある。国立の演芸課が芸歴20年までの若手を選んで年に1回ずつこの会に出演させ、審査員(「演芸に造詣の深い方々」が年替わりで務めているという)が銀賞を選ぶ。今回は馬るこの他に桂福丸、桂佐ん吉、雷門小助六が受賞。銀賞を受賞すると以降10年「花形演芸会」のレギュラーとして年2回出演、そこで初めて金賞、大賞の対象者となる。発表は毎年3月末。今回の大賞は上方落語の笑福亭たまが受賞した。

 若手落語家を対象とする賞は色々あるが、中で花形演芸大賞は「国が認めた」ものなので重みがあり、プロフィールに箔が付く。学校寄席など税金を使う地方公演に呼ばれやすくなる、とも聞いた。今は落語家の絶対数が多いだけに、若手にとって受賞は大きな意味があるだろう。

 銀賞受賞後に初めて観た馬るこの高座は4月9日の「新ニッポンの話芸」。僕がプロデュースして成城ホールで不定期に開催する立川こしら、三遊亭萬橘、そして馬るこの3人会で、この日は馬るこがトリ。ちなみに萬橘は平成25年度に銀賞、翌年から今回まで4年連続で金賞受賞。凄いことだ。一方、こしらは「花形演芸会」に一度も呼ばれないまま芸歴20年を超えた。これもまた「落語界の異端児」こしららしい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン