国内

80年代の少女漫画には華やかなラブコメと「開拓精神」

世の中が華やぎ、少女漫画の枠組みも広がった80年代(撮影/横田紋子)

 現在放送中のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』では、永野芽郁演じるヒロインの楡野鈴愛が、少女漫画に魅了され、漫画家になるために上京する。いつの時代も世の女性たちの心を揺さぶってきたのが少女漫画なのだ。

 バブル突入に向け一気に華やぎ始めた1980年代になると、少女漫画の枠組みもさらに広がり、王道の恋愛漫画はもちろん、ラブコメ、SF、歴史ものなどまさに花盛り。

 なかでも興隆したのが、一条ゆかりの『有閑倶楽部』、松苗あけみの『純情クレイジーフルーツ』、くらもちふさこの『いつもポケットにショパン』など「学園」を舞台にした作品だ。ちなみにくらもちふさこは『半分、青い。』で鈴愛が師事する秋風羽織のモデルといわれている。少女漫画に大いに影響を受けた精神科医の片田珠美さんが振り返る。

「当時はフジテレビが『楽しくなければテレビじゃない』をモットーに人気を伸ばしていた頃。1970年代の学生運動が失敗に終わった反動もあり、少女漫画にも華やかで楽しい学園生活を求める読者が増えたのだと思います」

 学園ラブコメが台頭する一方、「開拓精神」を持つ少女漫画も少なくない。代表的な作品が、ニューヨークを舞台に、ギャングの少年アッシュと日本人大学生英二が謎の薬物を追う『BANANA FISH』(吉田秋生作)だ。

 作家のあさのあつこさんも衝撃を受けた1人。

「スケールの大きい物語で、登場人物たちの思いが繊細に描写されていて、大長編小説を読んだような読後感でした。また、スラム街のギャングであるアッシュと、彼に無償の愛を与える英二という、スタンダードな生き方からはみ出す登場人物の生き様によって、価値観が広げられました」

 また、あさのさんの書いた人気SF小説『№6』は『BANANA FISH』の影響を受けて生まれたのだそう。

「『BANANA FISH』は大好きな作品ですが、それゆえハッピーエンドとはいえない結末が残念でならなかった。だから私は、同作のようにアクションや少年同士の愛情、国と個人の関係を描きつつ、違う終わり方をする作品を作りたいと思って、『No.6』という小説を書きました」(あさのさん)

※女性セブン2018年6月14日号

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン