とはいえ、緊急の危険を察知させるために、咄嗟に使うこともあります。これはクラクションの本来の目的といえるでしょう。そこで道交法も「危険を防止するためやむを得ないときは」鳴らしてもよいとしています。人が車に気がつかず、道路に飛び出そうとしているような場合です。急ブレーキやハンドル操作だけでなく、歩行者にも気付かせる必要があります。
ただ、あなたの場合は、ふらつき自転車を事前にわかっていたのですから、突然に警笛を鳴らさなくても、速度を落とすなどして危険防止ができたことになります。以上により、警笛はやりすぎで、道交法違反になるかもしれません。また驚かせた結果、転倒して負傷すると無過失とはいえないので、自動車損害賠償保障法による賠償責任も否定できないと思います。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年6月15日号