芸能

中谷美紀『あな家』で描かれる不倫劇が「新しい」理由

2組の夫婦の未来は…(番組公式HPより)

 観ていくうちにハマった人も少ないないのではないか。コメディのようでいて背筋が寒くなる印象もある「新しい」不倫ドラマ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析する。

 * * *
 いよいよラストに近づいた『あなたには帰る家がある』(TBS系金曜午後10時)。不倫がテーマの夫婦ドラマ、と聞けば目新しくないのですが、しかしこのドラマは従来のものとはどこか一味違う。独特のテイスト感が漂っているのです。

 物語の主人公は……佐藤真弓(中谷美紀)と秀明(玉木宏)の平凡な夫婦。家事や雑事をめぐるちょっとした感じ方の違い、仕事復帰についての考え方の違い、一方通行の会話。些細な日常をめぐるいざこざと不満。一つ一つのセリフがリアルです。

 それもそのはず、このドラマは活き活きとした夫婦像を描くため仕事と家事の両立、子育て、夫に対することなど事前に100人以上の女性の意見を調査して作ったとか。

 日常のささいなことが大きな出来事につながっていくあたりは、しかしさすがドラマ。茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)と綾子(木村多江)の夫婦がクセモノ。モラハラ夫の茄子田に仕返しするかのように、秀明に迫る綾子。綾子の勢いに押され不倫関係に陥った秀明に、愛想をつかして離婚を決意する真弓。

 離婚届けを出して別居したはいいけれど、しかし一人娘をめぐって完全には離れられない2人。なんやかんやと関わりは続き……秀明はまた綾子と焼けぼっくいに火?それとも元サヤに収まる? いよいよラスト目前、物語はいったいどこに着地するのでしょうか?

 という2人の関係の「落としどころ」に対する関心を盛り上げるのは不倫ドラマの王道手法。従来ならドロドロ感が漂い、照明でいえばダークな陰影調で、湿度にすればじっとりしていて、音楽でいえば短調の不安なメロディが響くはず。例えば4年前、斎藤工と上戸彩の不倫話でヒットしたドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ系)は、上戸さんの不安げな表情が実に印象的で、どこか悲壮感が漂っていました。

 しかし、このドラマは一味違う。ドロドロ感がほとんどない。乾いていてサバっとしている。コメディタッチの作りのせいかも。主役・真弓を演じている中谷美紀さんの、淡泊で引きずらないキャラクター性のせいもあるでしょう。

 しかし、それだけでは説明がつきません。いったい何が、この不倫ドラマの独特の個性を形作っているのでしょうか?

 キーワードはおそらく「外部化」。

「『結婚』って、女の人だけがこんなに大変なシステムなのか!」というフレーズがWebの感想の中にありましたが、まさしくその「たいへんな思い」を明快に「外部化」していくことで、新たな不倫ドラマが生まれた、とは言えないでしょうか?

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン