ライフ

日清戦争下に起きた「号外戦争」 1日に3回、4回の発行も

号外のあり方も今と昔では異なった(時事通信フォト)

 突発的な大ニュースをいち早く伝えるために、朝夕刊の新聞とは別に臨時で発行される「号外」。日本初の号外が、日刊新聞発祥の地・横浜にあるニュースパーク(日本新聞博物館)に展示されている。

 戊辰戦争中の1868(慶応4)年5月16日に発行された『別段中外新聞』だ。同館の学芸員、工藤路江氏が解説する。

「旧幕府軍・彰義隊を新政府軍が制圧した戦いを、本紙とは別に報じたものです。『別段』が号外を意味し、これが日本最古の号外とされます。明治初期、各社は『附録』『別紙』など様々な名称で号外を出し、号外という名称が定着したのは明治20年代初めごろと言われています」

 号外が頻繁に発行されるようになったのは、1894(明治27)年開戦の日清戦争の頃から。

「当時の国民の情報源は新聞のみです。戦況を伝える号外を出せば出すほどより多くの人が手に取って読み、読者を獲得して本紙の部数も増える。新聞各社は、速報性と量(頻度、部数)を意識して号外を発行していきます」(工藤氏)

 最も盛んに号外が発行されたのは日露戦争下だったという。1社で1日に3回、4回と号外を発行することもあり、刻々と変わる戦況を伝え続けた。

「朝日新聞は、開戦の1904(明治37)年に258回、明治38年に271回も号外を出し、戦況や講和条約関係のニュースを報じています。ちなみに、太平洋戦争中は物資不足や報道規制などを背景に、号外の数は激減しました」

※週刊ポスト2018年6月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
M-1での復帰は見送りとなった松本(時事通信フォト)
《松本人志が出演見送りのM-1》今年の審査員は“中堅芸人”大量増へ 初選出された「注目の2人」
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
原英莉花(時事通信フォト)
女子ゴルフ・原英莉花「米ツアー最終予選落ち」で来季は“マイナー”挑戦も 成否の鍵は「師匠・ジャンボ尾崎の宿題」
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
筒香が独占インタビューに応じ、日本復帰1年目を語った(撮影/藤岡雅樹)
「シーズン中は成績低迷で眠れず、食欲も減った」DeNA筒香嘉智が明かす“26年ぶり日本一”の舞台裏 「嫌われ者になることを恐れない強い組織になった」
NEWSポストセブン
陛下と共に、三笠宮さまと百合子さまの俳句集を読まれた雅子さま。「お孫さんのことをお詠みになったのかしら、かわいらしい句ですね」と話された(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
【61才の誕生日の決意】皇后雅子さま、また1つ歳を重ねられて「これからも国民の皆様の幸せを祈りながら…」 陛下と微笑む姿
女性セブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン