人間に危害を及ぼすおそれのある動物、あるいは不要となった動物を行政が殺して処分することを「殺処分」というが、その数はかなり減少。全国の犬猫殺処分数は1974年の約122万頭をピークから、2016年は約5.6万頭にまで割り込んだ(環境省調べ)。
殺処分が減ったきっかけとなったのが、平成25年の動物愛護法改正。“終生飼養”の義務が明文化され、飼育している動物が寿命を迎えるまで、適切に飼育するべきとの方針となり、行政の殺処分施設だった各地の愛護センターが、命を生かす施設へと変わり始めたのだ。
しかし、殺処分が大幅に減ったとはいえ、“噛む”など、人に危害を加える動物は、その対象とみなされることがある。
そんななか殺処分候補から起死回生で命が救われた犬がいる。岡山県動物愛護センターに収容されていた柴犬の愛ちゃんだ。
迷子犬だった愛ちゃんは人を恐れて噛みついたため、殺処分が決まっていた。しかし、NPO法人『しあわせの種たち』の理事長・濱田一江さんは殺処分予定日の1週間前からケアを行い、5日目には散歩に連れ出せるまでに。そして団体譲渡が許された。今では訓練士に預けられ、愛ちゃんは嘱託警察犬を目指してがんばっている。
はじめは歯をむき出しにして威嚇していた愛ちゃん。今では穏やかな顔で愛想を振りまき、人気者に。残念ながら、今年は試験に不合格だったが、挑戦は続く。
※女性セブン2018年6月28日号