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2018.06.19 07:00  マネーポストWEB

新幹線殺傷事件 遺族補償や慰謝料、JRに対する損害賠償の総額は

新幹線切りつけ事件で運休を知らせる電光掲示板(写真:時事通信フォト)


 6月9日。東京を出発した新幹線のぞみが新横浜を発車して数分後に惨劇は始まった。12号車のシートに座っていた小島一朗容疑者(22)が無言で立ち上がるなり、手にしたナタで両隣の女性に切りかかった。

 二列後ろの席から制止しようとした会社員の梅田耕太郎さんは、小島容疑者に何度も切りつけられ、命を奪われた。梅田さんが助けようとした2人の女性は、一命をとりとめた。

 無防備な乗客を次々に切りつけるという凶行に及んだ小島容疑者。今後どのような形で刑事的に罪を償うことになるのかは法の裁き次第だ。

 一方、民事賠償請求の対象となり得るのは、被害者遺族への補償、事件に巻き込まれケガをした人々への慰謝料及び示談金、そしてJR東海に対する損害賠償など。総額はどれほどになるのか。刑事裁判に詳しいアトム市川船橋法律事務所の高橋裕樹弁護士が語る。

「慰謝料や示談金は年齢や所得によって金額が変わります。殺害された方が、ご家庭を持つ働き盛りの会社員だった場合、5000万円は下らないでしょう。

 また、事件による列車遅延や払い戻し等で損害を受けたJRが賠償金を請求することも考えられます。2007年に認知症の方が列車事故を起こしたケースでは、JR東海が家族に約720万円の損害賠償を求め法廷で争われました。今回は新幹線の運行を妨害しており、JR側が訴訟を起こせば請求額は1000万円を超えるものと思われます」

 無職の小島容疑者本人に財産や支払い能力はない。賠償するのは現実的に困難という見方もある。

 本人に支払い能力がなければ、親が賠償を負うことも考えられるが、彼の場合、それも難しそうだ。小島容疑者は昨年、実の親との縁戚関係を解消し、祖母と養子縁組を結んでいる。

 今回の場合、最後の手段として国による“見舞金”的制度の「犯罪被害者等給付金」が利用される可能性がある。

 事件で犠牲になった梅田さんは定職に就いており、家庭も持っていた。そのため、給付金は満額の3000万円が認められる可能性が高い。梅田さんの勇敢な行為は金銭的に測れるものではないが、命の代償としてはあまりに軽すぎる。

※週刊ポスト2018年6月29日号

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