「観客がパニックを起こして、警備スタッフの統制が利かなくなった場合は、群衆の流れとは逆に向かうのが安全です。観客のほとんどは出入り口へ殺到します。これが一番危険です。パニックを起こした人波は転倒者を踏みつぶしていきますし、階段で誰かがつまずいただけで人雪崩が発生して圧死する危険性もあります。
ですから、スタジアムでパニックが起こった場合は、出入り口ではなく、スタジアムの中央部へ向かってグラウンドに降りてください」(同前)
移動の際には、歩くルートにも注意したい。日本防災教育訓練センターのサニーカミヤ氏がいう。
「広い通路を歩いて避難するときは、できるだけ左側を歩いてください。多くの人は右手が利き手なので、荷物も右手で持ちます。そのため、必然的に右側のルートには荷物が多く、人の流れが滞留しがちです。
通路の真ん中は人の流れが速く、一見スムーズに避難できそうですが、我先にと焦る人が選びやすい歩行ルートなので、パニックになった人に巻き込まれて転んだり、突き飛ばされたりする可能性が高くなります」
※週刊ポスト2018年6月29日号