国内

認知症の人が出迎え、注文を取り給仕するカフェの様子

認知症カフェ 認知症の人が給仕する店も(撮影/アフロ)

 認知症カフェをご存知だろうか? 高齢化が進み、認知症患者も増加していくだろうと予測される中で、認知症の本人とその家族が孤立しないように、お茶を囲みカフェの雰囲気で交流したり、専門家から知識を得られたりする。それが、認知症カフェだ。全国で5000か所ほどあるという。

 千葉県船橋市の古い団地の商店街に昨年末、開店したおしゃれなベーカリーカフェが『すももカフェ』の会場。ここは系列のグループホーム利用者がボランティアで働くのが特徴だ。開店すると団地や近隣の住民らが来店。通りかかった人がふらりと入ることもある。

「いらっしゃいませ!」と、毎月カフェの“出勤”を楽しみにしているKさん(78才)が注文を取りに行った。

 注文は、メニューが書かれた用紙にお客が自分で印をつける形なので間違いはない。注文の品ができると用心深く運ぶのはMさん(84才)だ。

 ひと仕事終わると、今度はテーブルを回っておしゃべり。これももてなしのサービスだ。お客の中にも認知症の人がいたというが、とても楽しそうに話しが弾み、一見して誰が認知症かまったくわからない。

「普段グループホームにいると外との接点がほとんどないのです。認知症でもできることはたくさんあるのに、生かせる機会がなかなかない。

 それで思い切って外に連れ出したのがこの試みです。人と接することがどれだけ刺激的か、彼女たちの目のキラキラを見るとよくわかります」と言うのは、カフェを運営する株式会社コンフォートケア代表取締役の形山昌樹さんだ。

 供されるケーキは近くの福祉施設のハンドメード。味もしゃれた盛り付けも好評だ。

 お客が帰った後、イスで休憩するKさんに「お疲れ様です!」と声をかけると、充実したいい笑顔が返ってきた。

※女性セブン2018年7月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン