しかし、この対策によって、本当に不正はなくなったのか。
会計検査院に問い合わせたところ、「調査は継続していますが、現時点で内容についてはお答えできない」(渉外広報室)と回答。
国税庁も「国外の扶養親族、扶養控除だけで集計はしていない。日本の申告納税制度は、納税者が自ら適正に申告するという立て付けで、明らかな誤りがあれば税務調査で対応します」(個人課税課)と答えた。
両機関とも効果の有無は確認できていないという。
◆海外の書類を精査できない
会計検査院の調査前から国外扶養親族の問題を指摘し続けてきた福岡県行橋市の小坪しんや市議は、「改善を得られたのは事実だが、満足のいく結果ではない」という。どこが問題なのか。
「書類さえ出せば、以前と同じです。提出書類の真贋を見極めるには、世界中の家族関係を証明する書類に精通している必要があり、地方の税務署職員には非常に難しい。
仮に本当に親族だったとしても、現状ではその人が無職なのか、億万長者なのかわからない。日本人はマイナンバーと住基ネットで照会すれば丸裸ですが、国外居住者は調べる術がない。外国人を公平に扱っているというより、日本人に不公平かつ不誠実な制度と言えます」