国際情報

中国の高層マンションで落下物が相次ぐ 上階のゴミ散乱も

落下物防止の呼びかけは繰り返されているが…

 高層マンションは日本では都市生活の憧れの象徴のように言われることが多いが、中国ではある危険と隣り合わせなのだという。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 頼りないほど細くて長いビルが林立する香港のマンション群は、内外から「鉛筆ビル」と形容されてきた。その香港では、政府系のテレビCMとしてしょっちゅう高層階に住む住民に対し、ある注意を呼びかけられてきていた。それが、高層階からモノを落とす危険についてだった。

 映像のなかではマンションの高層階のベランダで植木の配置換えをする老人が、うっかり手を滑らせて植木を落としてしまう。それがベランダのはるか下を歩いてきた若い女性の頭に向かって落ちてゆくというストーリーで、最後は多くの人が泣いている映像で締めくくられるというものだ。

 落下するものでは乾電池が使われていたケースもあった。テレビを通じて啓蒙していたということは、実際にそうした事故が多かったことを意味しているのだろうが、これがいま中国大陸でも大きな問題になっているのだ。

 武漢市の東湖風景区で起きた事件を報じたのは、『看看新聞』(6月18日)である。

 レストランで働く51歳の女性、呉さんは、いつものように仕事を終えるとレストランの裏口から出て歩き出した。すると間もなく、突然、気を失って倒れたのである。

 彼女が倒れた原因が病気ではないことは、頭からは大量の血が流れていたことから明らかだった。彼女が倒れていた場所から近いところには、お粥の入っていた空き缶も転がっていた。結局、呉さんは15針も縫うケガを負った。同紙のレポートによれば、呉さんが倒れた場所にはマンションの上階から投げ捨てられたと思われるゴミが散乱していたという。

 また呉さんと同じレストランの従業員によれば、窓から水のようなものが降ってくるのはしょっちゅうで、ゴミ袋や軽い容器も多いというが、なかには小さな椅子までが落ちてきたことがあるという。このマンションが32階まであることを考えると、ケガで済まないケースも十二分に考えられる。

 マンション入り口には、はやり「上からモノを投げ捨ててはならない」との警告文が貼られていたというが、それはこの問題が昨日今日始まったものではないことを示しているのだろう。

関連キーワード

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン