留学生の張君の家探しに付き合って駅前の不動産屋に飛び込むと、担当者からそんな話を聞いた。なお、この不動産屋は中国人経営で、従業員もほぼ中国人。主に中国・ベトナム客向けに物件を紹介している。
「西川口の中国人住民は留学生が多いですが、都内に通うベッドタウンとして家族で住む人もいる」
留学生がよく住むワンルームマンションを見せてもらう。駅徒歩7分、築3年、専有面積20平米で共益費込み6.9万円。まずまずの物件だが「激安」とは言えず、現在の中国人留学生の生活水準の向上を感じる。
「入居者は絶えずいる。なので、賃貸経営用に購入する中国人も多いですね。このくらいの物件なら600万~1000万円くらいで買えますから」
もともと「風俗の街」の印象が強いだけに、物件の相場は比較的安い。中華料理店の激戦地帯にある土地面積86平米の5階立て商業ビルすら、1棟の売値は2億円程度とお買い得だった。今後も在日中国人による活発な投資が続くだろう。
夜、中国人向けのカラオケボックスに行ってみた。こちらではなんと、近年の中国のスマホ普及を反映してか、客がチャットアプリ『微信(ウィーチャット)』を使用してインターネット上からさまざまな楽曲をオーダーできる最新設備を揃えていた。日本国内にいるにもかかわらず、張君と一緒に中国共産党のプロパガンダ歌謡や人民解放軍の軍歌を存分に熱唱してしまった。