国際情報

中国高級ホテル 結婚式の途中で新郎新婦が追い出された理由

一生の思い出になるはずが…(写真:アフロ)

 忖度はどの世界にもある。問題はその程度だ。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 為人民服務(人民のために奉仕せよ)──。中国の街を歩いていると、よく目にするスローガンだ。一般に権力側にいる者たちを戒める言葉だが、往々にして実態がそうなっていないことを示している。

 だが、怒涛の勢いで反腐敗キャンペーンをやった習近平政権の下では、「民高官低」の空気が社会の隅々にまで広がっていたはずである。お役人の天国と呼ばれる中国の現実は、それでもいまだにしっかり根を張ったままであったということなのだろうか。そんなことを思わせるニュースを報じたのは、『北京青年報』が運営するサイト、『北青網』(6月10日)である。

 記事のタイトルは、〈結婚式の途中で新郎新婦が式場から追い出される ホテルが市の道路局の会議を優先〉である。見出しを読めば、だいたい何が起きたのかが想像できるだろう。

 場所は青海省西寧市。高級ホテルの式場を半年前から予約していた馬さんは、あるとき「役所の会議を式の後ろに入れますが、式には一切影響しませんから」という連絡を受けた。だが当日、会議の時間が近づくと食事が途中であるにもかかわらず、ホテル側はさっさと片づけに入ってしまい、ステージも撤去してしまったという。宴会場の周りには役人たちが集まり式の雰囲気をぶち壊しになり、一生の晴れ舞台は無残なものとなってしまった。

 記事を読めば、ホテル側が後ろの役人に気を使って新郎新婦をぞんざいに扱ったことがよくわかるのだが、はやり言葉で言えば「忖度」したということだ。それにしてもなぜ道路局の役人たちが高級ホテルで会議をしなければならないのか。これこそ贅沢禁止令違反に引っかかるケースではないのか。

関連キーワード

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン