投資

育成から規制強化へ──仮想通貨に対する金融庁のスタンス変化

ビットコインに代表される仮想通貨を取り巻く環境の変化とは

 2018年4月に、金融庁から登録を受けている仮想通貨交換業者16社を中心に、改正資金決済法第87条の認定団体を目指した一般社団法人日本仮想通貨交換業協会が発足した。だが、6月には発足間もないこの協会のメンバーのうち6社に対して、金融庁が業務改善命令を出した。これは仮想通貨業界にどのような影響を及ぼすのか。フィスコデジタルアセットグループ代表取締役でビットコインアナリストの田代昌之氏は、次のように分析する。

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 金融庁は2018年6月22日、マネーロンダリング(資金洗浄)対策や顧客保護などの管理体制が不十分だとして、仮想通貨交換業者の正式登録業者6社に対し、改正資金決済法に基づき業務改善を命じた。

 対象となったのは、bitFlyer、QUOINE、ビットバンク、BTCボックス、ビットポイントジャパン、テックビューロ。金融庁は、2017年秋以降、業容が急激に拡大する中で、「内部管理体制が追い付いていない。どの会社も共通して、経営陣が十分な対応、戦略上の意思決定をしていない」と指摘した。

 これを受けて、日本仮想通貨交換業協会は6月25日、副会長を務めるbitFlyer代表取締役の加納祐三氏と、同じく副会長を務めるビットバンク代表取締役の廣末紀之氏から自主的な辞任の申し入れがあり、これを受理したと発表した。

 2017年までの金融庁のスタンスは、仮想通貨業界の育成に目を配り、仮想通貨交換業者自らが現場の中で取引の原則を構築し、それに基づいて行動することを「よし」としていた。ところが、2018年1月26日にコインチェックのNEM(ネム)流出事件が発生。それを受けて、金融庁は現場に任せ過ぎでは利用者保護がおぼつかなくなると、規制強化に踏み切った。

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