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2018.07.25 07:00  マネーポストWEB

中国本土株が底打ちの兆し 理財商品の規範化に金融株が反応

中国本土市場に政府の株式安定化資金が流入か


 上海総合指数は底打ちした可能性が指摘されている。中国本土市場では20日午後、政府の株式安定化資金が入ったのではないかといった見方が広がった。

 前週の上海総合指数は週足ベースでみると0.1%安だが、7月12日以来、19日まで6日続落となった。一日の下落幅は小さく、商いが細る中で、じりじりと下げるといった展開が20日前場まで続いた。しかし、後場に入り、突如として大規模な資金が流入し指数は上昇、この日の終値は2.0%高となった。

 後場から急騰したのは指数への影響の大きな銀行、保険、証券といった金融セクターである。個人は値動きの小さな大型株を好まない。こうした金融大型株を買ってくるのは機関投資家である。わずか1時間強で上海総合指数を2%引き上げるほどの資金が入ってきたのだが、それはどこから出てきたのだろうか? 国家資金の入ったファンドが大規模な買い注文を立て続けに入れたことで、政府系ファンドの動きに敏感な機関投資家が連動して動いたということだろう。

 ただし、この日はもう一つ上昇の要因となったかもしれない材料があった。

 中国銀行保険業監督管理委員会は20日大引け後、商業銀行理財業務監督管理弁法(意見徴収稿)を発表した。内容は、理財商品の分類、管理、運用の規範化、透明化、リスク・レバレッジの管理、流動性のコントロール、運用機関の管理、ディスクロージャーの強化、商品の管理など。続いて中国人民銀行は「金融機関の資産管理業務指導意見を更に一歩進めて明確に規範化するための関連事項に関する通知」を発表。さらに、中国証券監督管理員会は20日夜間、「証券先物経営機関私募資産管理業務管理弁法(意見徴収稿)」を発表した。

 多くの市場関係者は、「資産管理に関する新たな細則が発表されたことで、市場は理財商品の相対的な資金吸引力が高まり、市場流動性が刺激されるなどの効果が期待できる」といった分析をしている。

 銀行の理財商品は、株式で運用される部分が大きく、その規範化は株式市場にとってポジティブである。今年は年初からの当局による金融リスク縮小政策の加速によって、銀行は理財商品の販売を拡大しにくい状態に追い込まれていた。そうした中で、資産管理に関する新たな細則が明らかになったことで、今後の業務拡大に期待が持てるようになったということだ。

 発表は大引け後だが、それを事前に知り得た大手金融機関が買いに入った可能性がある。この日後場の相場を牽引したのは金融株である。相場の動きとぴったりと符合する。

 23日の上海総合指数は安寄りしたものの、積極的な買いが入ったことで上昇に転じ、大引けでは1.07%高で引けている。

 この日の寄り付き前に注目を集めたのは、長春長生生物科技(002680)による狂犬病ワクチン生産に関する記録捏造事件である。事件自体は2週前に発覚、前週は5日間連続でストップ安となっていたが、22日夜間、国家薬品監督管理局はこの件を公安機関に移送し、刑事事件として追及することになったと発表した。

 さらに、李克強首相があらゆるワクチンの生産、販売、流通に関して徹底的に調査するよう指示したと23日早朝のマスコミが伝えると、バイオ医薬関連セクター全体に影響が出るとの見方が広がり、関連銘柄が売られ、相場全体が売り一色といった状態で寄り付いた。

 しかし、そうした状態でも市場全体に大量の買いが入ってくる相場の強さを見る限り、米中貿易紛争長期化による影響は織り込まれ、上海総合指数は底打ちした可能性が高いのではないだろうか。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。

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