芸能

日本人が開発リードする最先端がん治療、日本で承認されぬ矛盾

いま最も期待されている最先端治療のひとつ、「CAR-T療法」

 アメリカ帰りの外科医が大学病院に最先端の手術支援ロボット「ダーウィン」を持ち込んだ。このロボットを使えば「医者の手」ではできない超精密な作業が可能になり、今まで手術できなかった病巣を取り除くことができる。

 しかし、アメリカ政府はそのロボットを使う承認を出しているのに対し、日本の厚生労働省は認めていない。だから、日本の医療現場では一般に利用することはできない。

 歯がゆい思いを抱える患者たちの前に「治験コーディネーター」が現れる。彼女が提案する「治験」という方法を使えば、認可されていないロボットでも手術が可能だという。

 今年4月クールで放送され、トップの視聴率を記録した医療ドラマ『ブラックペアン』(TBS系)には、そんなストーリーが登場する。孤高の天才外科医役の嵐の二宮和也(35才)が主演で、治験コーディネーターを加藤綾子(33才)が演じた。

 このドラマの原作は、作家・海堂尊氏の同名小説だ。現実の医療界の光と闇をテーマにした作品で知られる海堂氏だけに、ドラマで描かれた話は現実からそう遠くない。

 夫を肺がんで亡くした妻(55才)が語る。

「末期の肺がんに効くとされる最新治療薬が日本で承認されました。もしもう1年早かったら、夫は助かったかもしれないと思うと…」

 乳がんを治療中の女性(42才)はこう語る。

「がんがわかってから本やネットで必死に情報収集して、アメリカで効果的な治療法が発見されたとのニュースを目にしました。自分もぜひ試してみたいと主治医に相談したら、『日本では認可されていないので』と断られました。効果がありそうな治療法なのであきらめられません」

 がんは人類にとって“最大の敵”だ。世界では1年に1400万人以上ががんと診断され、900万人弱が命を落とす。それゆえ、世界中の医療機関が躍起になってがん治療の研究を進め、日進月歩で進化している。

 もともと、がんの治療は、手術などの「外科療法」、放射線でがん細胞を破壊する「放射線療法」、抗がん剤を投与する「化学療法」の3大療法が柱だった。最近はそこに、人間が生まれながら持つ免疫力を利用してがんを退治する「免疫療法」が加わり、治療の可能性が飛躍的に拡大した。

 現在、最も期待されている最先端治療の1つが、免疫療法の一種である「キメラ抗原受容体T細胞療法」(通称、CAR-T療法)だ。

 体内に生じた異物を攻撃する免疫細胞である「キラーT細胞」の遺伝子を操作し、体内に潜むがん細胞を見つけやすくしたうえで、免疫細胞とがん細胞を戦わせる治療法だ。

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン