◆プロ意識の高い一流の人が生き残る
──一方で、ニューハーフヘルスに来る既婚男性客には、女性の風俗嬢だと妻に罪悪感があるが、ニューハーフならいいか、みたいな感覚があると。女の私にはちょっと不思議です。
中塩:私も意味がわかりませんでした(笑)。人間の心理や欲望って不思議といいますか、人それぞれといいますか、面白いですよね。
──長年取材をされてきて、昨今のセックスワーカーの変化を何か感じますか?
中塩:不景気の影響もありますが、最近は出会い系アプリ・サイトが盛んなので、風俗業界はあおりをくっている気がします。難しい状況の中で、本で紹介した出張ホストのように個人営業を始めるなど、新しい働き方を模索したり、人と違う戦略を立てて生き延びようとしている人も多いです。プロ意識の高い一流の人間が生き残るのは、どの仕事、どの世界でも同じなのだろうと感じます。
中塩智恵子(なかしお・ちえこ)◆1974年生まれ。宮城県石巻市出身。アダルト系出版社を経てフリーランスのライターに。現在はおもに女性週刊誌で執筆。政治家、文化人、芸能人、風俗嬢、ウリセンボーイ等と幅広い取材活動を行う。2002~2006年までタイ・バンコクに在住。現在、新宿二丁目在住。著書に『風俗嬢という生き方』(光文社知恵の森文庫)がある。