芸能

立川吉笑 元の設定の不条理さを一層推し進めた『あたま山』

立川吉笑の魅力を解説

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、ロジカルな新作落語で知られる立川吉笑による、不条理さを推し進めた『あたま山』の魅力について解説する。

 * * *
 立川談笑の一番弟子、立川吉笑。二ツ目ながら、彼の活躍ぶりは立川流の若手の中でも際立っている。元気な「談志の孫弟子世代」を代表する演者だ。数学的発想と言葉遊びを特徴とする彼の「ロジカルな新作落語」の魅力は他に類を見ない。

「笑いを表現する大衆芸能」としての落語をテクニカルに分析してみせた著書『現在落語論』で、吉笑は落語の最大の強みとして「不条理な空間を描いた笑いを表現するのに適している」ことを挙げている。その吉笑が6月2日、不条理落語『あたま山』をネタ出しして渋谷ユーロライブで独演会を行なった。

 1席目は『蹴球部』。渋谷大学蹴球部の主将が「うちはゴールキーパーの俺が無失点で守りきって勝つ部なので『捕球部』と改名する」と言い出し、他の部員たちの試合中の動作を数値化して彼らがいかに「蹴ってない」かを証明、反論を封じる。数の論理を弄ぶ吉笑らしい小品だ。

 2席目が『あたま山』。徳さんという男がご隠居のところを訪ねて「さくらんぼの種を飲んだら頭の上に桜が生えた」と訴える。この桜が大木に成長して、頭の上は花見客でごった返す。そこは古典のままだが、ここから吉笑独自の展開に。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン