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大阪市長「学力テスト結果、給与反映」方針に広がる波紋、渦巻く賛否 「教員の危機意識ない」に文科相は慎重判断要請

2018.08.11 07:07

 小学6年と中学3年を対象とした全国学力テストの結果を教員給与や学校予算に反映させるとした大阪市の吉

 小学6年と中学3年を対象とした全国学力テストの結果を教員給与や学校予算に反映させるとした大阪市の吉村洋文市長の方針をめぐり、波紋が広がっている。教える側の意識改革を促して学力向上につなげる狙いだが、林芳正文部科学相が「学テの趣旨や目的を踏まえてほしい」と慎重な判断を求める事態に発展。学校現場や保護者らの間では賛否が渦巻いている。

 「ずっとベッタ(最下位)なのに、危機意識が一切伝わってこない」

 8月2日の定例会見で、吉村市長は市教委や学校側へのいらだちをあらわにした。大阪市の学テの平均正答率が、政令指定都市20市の中で2年連続最下位に沈んだことを受けての発言で、「教員はぬるま湯に漬かっている。結果に対し責任を負う制度に変える」と言い切った。

 吉村市長が教える側の努力や意識を変える抜本的改革としてぶち上げたのが、学テの正答率に数値目標を設け、達成度合いによって校長・教員の評価やボーナス、学校予算の増減に反映させる制度案だ。

 導入されれば全国的にも前例のない取り組みだが、学テの実施主体である文科省は戸惑いを隠せない。学テの本来の目的は児童生徒の苦手分野を把握し、授業や教育施策の改善に生かしていくことで、人事評価に使う想定はないからだ。

 学テ結果の活用をめぐっては過去にも大阪が混乱を引き起こしている。大阪府教委は平成27年に高校入試の内申点評価に反映させる仕組みを導入。対する文科省は「趣旨の逸脱だ」として実施要領を変更し、内申点への活用を禁止した。

 今回の市長方針について、文科省の担当者は「現段階で検討中と聞いているので、詳細がわからず、なんとも言えない」と困惑。大阪市にクギを刺した林文科相の発言も踏まえ、慎重に見守る構えだという。

 地方公務員法では、職員一人一人の能力や業績に応じた評価を行うと規定しており、「学校ごとに一律で評価や手当の増減が決まれば、法律に抵触する恐れがある」と疑問を持つ関係者も。制度案は今後、市長や教育委員らでつくる会議で具体的な議論が行われる見通しだ。



 耳塚寛明・お茶の水女子大学教授(教育社会学)の話「学テの結果は教員の努力もあるが、同時に家庭や地域環境など多様な影響が考えられる。学力を向上させるためには、学テなどで低位に位置する学校へのきめ細かいサポートが必要で、市長方針はそれとは逆行する可能性がある。学力低迷の要因をまず分析すべきだ」

 西村和雄・神戸大特命教授(教育経済学)の話「学力が低迷していたのは、教員らの評価が学力向上と結びついていなかったから。評価基準を学力向上に置き、学校の予算額に反映させる方針は極めて自然なことだ。各学校の実情を考慮した上で、どれだけ改善に努力したのか評価できる仕組みになればよいだろう」



 ■全国学力・学習状況調査(学力テスト) 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握分析し、施策や指導の充実・改善を図ることが目的。小学6年と中学3年が対象で、国語と算数(数学)は主に知識を問うA問題と応用力を問うB問題があり毎年実施。理科は3年ごとに実施している。

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