指数の計算を始める前に、まず、アメリカの連邦議会での法案成立の仕組みを簡単にみておこう。

 連邦議会は、日本の国会と同じく二院制をとっており、100名の議員からなる上院と、435名の議員からなる下院で構成される。ある法案が成立するためには、2つのケースがある。

 ケース1は、両院でそれぞれ過半数の賛成で可決した上で、大統領が拒否権を発動しないこと。

 ケース2は、大統領が拒否権を発動しても、それを覆すために、両院でそれぞれ3分の2以上の賛成で可決すること。

 ポイントとなるのは、大統領の拒否権は絶対的なものではなく、3分の2以上の多数の議員で覆せるということだ。

 なお、ここで1つ、やや細かいことを述べる。ケース1で、過半数の賛成で可決というときに、上院は議員数が100名で偶数のため、賛否が50対50で拮抗してしまう場合がありうる。この場合は、上院議長を兼務している副大統領が、議長決裁票と呼ばれる1票を投じて、賛否の決着がつく仕組みとなっている。

 以上をまとめると、こういうことになる。アメリカで、連邦法の法案が成立するにあたっては、大統領1名、副大統領1名、上院議員100名、下院議員435名の、合計537名が関与している。

 そして、つぎの人々が賛成すれば、それ以外の人がすべて反対したとしても、法案は成立する。

(1) 大統領、上院議員51名(100名の過半数)、下院議員218名(435名の過半数)
(2) 大統領、副大統領、上院議員50名、下院議員218名
(3) 上院議員67名(100名の3分の2)、下院議員290名(435名の3分の2)

 つまり、法案を成立させるための提携の形として、この3つが考えられるわけだ。では、この537名がどれだけのパワーを持っているのか、指数を計算することを考えてみよう。

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