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裏社会で月額200万円以上稼ぐ「道具屋」の仕事とは

『ハスリンボーイ』は原作・草下シンヤ氏、漫画・本田優貴氏のコンビが描く

「大学を卒業後、探偵会社に入ったんだけど、そこがブラック企業だったんだよね。そこを短期間でバックレて、そのときイケイケだった闇金業界に入った。そこはうまくいっていたんだけど、タタキ(※強盗)に遭って全部失っちゃって……。その後で始めたのが、闇金時代に作っていた裏のネットワークを使った道具屋だったんだよね」

 山崎が扱っていた禁制品は、主に「トバシの携帯」「レンタル携帯」「架空口座」「違法薬物」などである。

「道具屋はね、犯罪ネットーワークのスクランブル交差点みたいなもんだよね。ヒトとモノ、そしてヒトとヒトをつないでそれを金にする。そんなところにもこの仕事の面白さがあったかな」

 道具屋というと、モノを扱っているだけのイメージが浮かぶが、実際は裏社会の何でも屋といった側面もあるようだ。強力なネットワークを持つ道具屋のもとには、さまざまなヒト、事件、ビジネス、モノ、情報などが集まってくる。そのネットワークそのものが道具屋の力であり、商売のタネになるのだろう。

 その結果、山﨑は池袋で暴力団、半グレ集団から一目置かれる存在として活動し、全盛期には月に200万円以上の稼ぎを得て、頻繁にハイブランドの洋服や財布を買い替えたり、後輩を引き連れてキャバクラに通ったりするような羽振りの良い生活を送っていた、という。

 このような道具屋がいるから犯罪はなくならないとも言えるし、一方で犯罪グループの必要が生み出した「今の犯罪を象徴する存在」──それが道具屋なのだ。

 今年4月には、警視庁サイバー犯罪対策課と福島、群馬両県警が、仮想通貨口座を他人の情報で不正開設した私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで、中国籍の会社役員が逮捕しているが、その容疑者は「犯罪グループ向けに口座などを不正調達する道具屋」とみられて、取り調べを受けているという。

 世の中の流行に合わせて、シノギを見つけ出していく彼らの動向を追うことで、新たな犯罪の姿が見えてくるのは間違いない。

【PROFILE】草下シンヤ/1978年、静岡県出身。豊富な人脈を活かした裏社会取材を得意とし、『実録ドラッグレポート』『裏のハローワーク』などの著作がある。現在「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて『ハスリンボーイ』(原作担当/漫画・本田優貴氏)を連載中。第1話試し読み http://spi.tameshiyo.me/HUSTLINSPI01 Twitterアドレス https://twitter.com/kusakashinya

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