「例えば『毎日のお食事はおいしく召し上がられていますか?』と聞けば、食欲がなく体調が悪いのか、味覚障害のせいで食べないのか、薬の副作用で唾液が出ないのかなど、患者の健康状態を細かくチェックできる。『何か困ったことはありますか?』という漠然とした質問だけの薬剤師は、副作用のチェックが不十分の恐れがある」(堀氏)
薬局と薬剤師の役目は、その都度の薬を出したら終わりではない。長期的に患者の服薬状況を見守り、助言することが求められる。
「とくに降圧剤など複数の薬を常用する場合、医師が薬の量や種類を変更することがよくあります。量や種類が変わったことを伝えて、『気になることがあれば教えてください』と声掛けすることが大切です。事務的な説明をして、『ではお大事に』で終わる薬剤師は問題です」(宇多川氏)
医師との連携がきちんと取れている薬剤師かどうかも重要なポイントだ。とくに頭痛薬、便秘薬、睡眠薬など「患者が体調を見て飲むか否かを判断する薬」の場合、医師は“念のため”と多めに処方しがちだ。
その際、薬剤師が「服用後、どれくらい改善したか」「飲みきれなかった薬はないか」などをチェックし、必要に応じて医師に「助言」することが求められる。
「例えばアレルギー薬の場合、眠気が強く出る薬もあります。薬剤師は医師が処方した薬を勝手に変更できないので、患者の体調や服薬状況をチェックして、医師に『もう少し眠気を抑えた薬にしたほうがいいかもしれません』などと連絡し、薬の変更を提案することも求められます。ただ、医師に連絡することをためらってしまう薬剤師もいるのが現状です」(児島氏)
※週刊ポスト2018年8月17・24日号