では骨盤はどうすれば立てることができるのか。実は座り方を工夫するだけでいいのだ。
「浅いイスの場合、中腰になって背もたれにお尻を押し付けて、そのままお尻を擦るようにして下に落としていく。そうすると腰だけが背もたれに接した『骨盤が立った状態』になり、上半身の重みを骨盤全体で支えられます」(木津氏)
一方で、背もたれのない床に直接座るのは極力避けるべきだ。総合内科専門医で『長生きするのはどっち?』の著者である秋津壽男医師が指摘する。
「高齢者が背もたれのない床に直に座ると猫背になりがちで、おなかのスペースが狭くなって胃に負担がかかりやすい。すると、胃酸や十二指腸液が逆流して食道の粘膜を刺激して炎症が起きる逆流性食道炎や、胃腸の消化不良、便秘を起こしやすくなります。これを放置していると最悪の場合、食道がんになるリスクがある。
胸がチリチリと苦しい胸やけや、喉のつまりやつかえが出たら逆流性食道炎の症状なので要注意です」
ゆったりした軟らかいソファーは心地良いが、健康のことを考えるなら硬い座椅子に座るべきだ。
「骨盤を立てるためには、硬い椅子のほうが向いています。軟らかいソファーなどではお尻が沈むため骨盤を立てられず、腰や背骨への負担が大きくなります」(木津氏)