「母さん、どこにいるの。親孝行できずにごめんね。会いたいよ」
おそらく津波に遭い、ご遺体が見つからないお母さんを偲んでいるのだろう。
「お父さん、たくさんのありがとうを込めて。お母さんと私たちのことを見守っていてね」
震災とは関係なく子どもを亡くした人の記述もある。
「明日は(子どもの)誕生日、風の電話を通して、お誕生日おめでとうが言えました。ありがとう」
ぼくも「風の電話」の電話ボックスに入ってみた。狭い空間がとても心地よい。自分の発した言葉に包まれ、不思議な気分になる。受話器を上げて耳に当てると、向こう側にだれかがいるような気がした。それは、20年前に他界した父のようでもあり、過去のぼく自身のような気もした。
佐々木さんと初めて話したのは、『日曜はがんばらない』(文化放送、毎週日曜午前10時~)だった。どんな思いで「風の電話」をつくったのか、電話で話を伺った。