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【ドル円週間見通し】米国経済の下振れ意識、ドル上げ渋りか

米中貿易摩擦に伴うアメリカ経済の下振れリスクを意識

 投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が8月27日~8月31日のドル・円相場の見通しを解説する。

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 今週のドル・円は上げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続方針を背景にリスク選好的なドル買いは続くとみられるが、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で指摘されたように、米中貿易摩擦によるアメリカ経済の下振れが意識されそうだ。

 ただ、トランプ大統領の利上げけん制やロシア疑惑再燃でドル売りに振れても、ほどなく値を戻すためドルの下値の堅さが意識されているようだ。背景にあるのは9月と12月の利上げ観測で、29日発表の4-6月国内総生産(GDP)改定値など経済指標が市場予想と一致した場合はドル買い材料となるだろう。

 22日公表されたFOMC議事要旨(7月31日-8月1日開催分)で、FRBのタカ派寄りの姿勢が改めて示されたが、貿易摩擦の国内経済への影響もテーマとなり、今後の下振れリスクが共有された。このため、今後の利上げシナリオへの関連で、従来の買いは入りにくくなる可能性もあろう。

 トランプ政権は知的財産権の侵害を理由に対中制裁に踏み切り、第2弾として中国製品160億ドル規模の追加制裁を23日に発動。中国も同規模の報復関税の導入を決定しており、米中貿易協議に進展がみられず、両国の対立が続いた場合、リスク回避的な円買い圧力は強まることが予想される。一方、トルコリラは8月上旬の急落後、比較的安定的に回復しており、新興国通貨安を意識したリスク回避的な円買いは縮小したもよう。ただし、トルコと米国の対立は続いており、トランプ政権の追加制裁などがあれば、リスク回避の円買いが広がるリスクもあり、警戒を要する状態がしばらく続くだろう。

【米・4-6月期国内総生産(GDP)速報値】(29日発表予定)
 29日発表の4-6月期国内総生産(GDP)改定値は、前期比年率+4.0%と速報値の+4.1%から小幅な下方修正が予想される。ただ、4%成長は維持されるとみられており、市場予想と一致すれば、ドル売りには結びつかないだろう。

【米・7月コアPCE】(30日発表予定)
 30日発表の米7月コアPCEは、連邦準備制度理事会(FRB)の目標でもある前年比+2.0%と予想されている。6月実績を上回り、2012年4月以来の伸びとなることから、利上げ継続への期待は高まり、ドル買い材料になりそうだ。

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