国内

“愛国保守知識人”が日本語を壊すブラックジョーク

評論家の呉智英氏

 保守を自任する安倍晋三首相以下、いまや政治家も言論人も、「我こそは保守」「我こそは愛国者」と競い合うように主張する。しかしそのメッキは、言葉遣いを見るだけで剥がれてしまうのかもしれない。最新評論集『日本衆愚社会』(小学館新書)が大きな話題を呼ぶ評論家の呉智英氏が、鋭く見抜く。

 * * *
 日本民族大移動の季節も終わった。故郷で家族・旧友と郷土料理を囲み方言で語り合い笑い合う。あるいは逆に、仕事や学校のため地方に住んでいる人は東京や大阪の故郷に帰り、地方の面白さ珍しさを披露し小マルコポーロの気分を味わったことだろう。日本は意外に広く、言葉も生活習慣も多様なのだ。ただし、その多様はバラバラということではなく、どこかでつながっていて多様なのである。

 前に住んでいた町でこんなことがあった。

 新聞の集金人が来たので一万円札を出した。少し西国の訛りのある集金人のおじさんは、釣り銭の千円札を渡しながら「ちゃんと読んでね」と言った。私は、そりゃ新聞は毎日読んでるさ、と思い、ウンと返事をした。そして、すぐ気づいた。私は釣り銭を確認して、御苦労様と言って微笑んだ。

 いやあ、言葉にうるさい俺としたことが、こんなことにも気づかなかったのか。集金人はお釣りの千円札を「ちゃんと数えてね」と言ったのである。

関連キーワード

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン