総裁選の渦中に、安倍首相を利するような対立候補の陣営がからむ“捜査情報”が流出すること自体、政治色がプンプン匂う。ノンフィクション作家の森功氏が語る。
「特捜部の捜査は不可解な方向に向かっている。文科省の汚職事件は『私立大学研究ブランディング事業』の助成金をめぐって起きた。この事業は安倍首相のお友達の下村博文・文科相時代に創設され、助成対象には加計学園の名前も出てくるという伏魔殿です。捜査が東京医大から他の助成先に延びれば政権は打撃を受けるとみられていた。ところが、特捜部はそこまで踏み込まず、逆に安倍政権にとって好都合な政官の接待リストなるものが浮上した。
森友学園を舞台にした公文書改竄事件では、大阪地検特捜部が財務省幹部を軒並み不起訴にして安倍首相を守ることにつながったが、今度は東京地検特捜部が結果的に官邸の先兵の役割を果たし、首相の政敵つぶしの“サポート”をする構図になるのではないか」
◆逆らえば“お取り潰し”になる
首相サイドにとってリストの“政治的利用価値”はそれだけにはとどまらない。安倍政権が憲法改正と並んで3期目の政策の柱として打ち出そうとしているのが中央省庁再々編だ。
安倍首相の盟友の1人、甘利明・自民党行革推進本部長は9月に正式に首相に提言を出す。菅義偉・官房長官も「時代の要請に応じるのは大事だ」と再々編に前向きだ。