ビジネス

ギリシャヨーグルト『パルテノ』日本人好みの舌触り実現開発秘話

『濃密ギリシャヨーグルト パルテノ プレーン砂糖不使用』153円(森永乳業)

 今やヨーグルトの中でも、定番ジャンルとなったギリシャヨーグルトだが、その先駆け的存在として7年前に発売されたのが、森永乳業の『パルテノ』だ。濃密でしっとりした新食感は、日本人にどのようにして受け入れられたのだろうか。

 ギリシャヨーグルトの『パルテノ』の商品開発が始まったのは、ちょうど10年前。当時、“メタボ検診”が話題となり、お腹まわりについた脂肪を気にする人が増えていた。そのことから、ヨーグルト市場でも“脂肪分ゼロ”を謳った商品が多く流通していた。

 森永乳業では、フルーツタイプの『森永アロエヨーグルト』のほか、『ビヒダスヨーグルト脂肪ゼロ』など、多種多様なヨーグルトを販売していた。しかしその頃、“脂肪分ゼロ”のヨーグルトに、味わいとして物足りなさを感じるという消費者の声も上がり始めていた。そこで新たな商品として、フルーツタイプでも“脂肪分ゼロ”タイプでもない、新しい味わいと食感のヨーグルトの開発を目指した。

 開発担当者は、当時、ニューヨークで人気に火が付きかけていたギリシャヨーグルトに注目した。さっそく、ありとあらゆるギリシャヨーグルトを取り寄せてみたところ、今までのヨーグルトとはまったく違う、クリーミーで濃厚な食感に衝撃を受けた。「この驚きを、消費者に届けたい」──そんな思いを抱いて、ついに開発が始まった。

 ヨーグルトづくりではまず、無数にある乳酸菌の中から、どの菌種を使うか吟味して選定する必要がある。乳酸菌の種類によって、作り手が目指す味わいが変わるほか、合わせるフルーツによっても、出来上がりの性質が変化するからだ。

 また当時は、ギリシャヨーグルトの製法において、乳成分を固めるためのたんぱく質を発酵前後に入れる製法の商品が多く流通していた。しかし『パルテノ』は、たんぱく質を添加して固めるのではなく、ギリシャ古来の水切り製法によって、乳成分を濃縮させる方法を採用することで、日本人好みのなめらかな舌触りが実現できると考えた。コーヒーフィルターでヨーグルトの水切りをするようなやり方だ。

 試作は研究所で行われるが、出荷のために工場でどのように水切りをして大量生産体制を組むかに、苦労した。そしてついに、現在の「3倍濃縮製法」にたどり着いた。発案から3年の月日が流れていた。

 今までにない食感のヨーグルトをまずは体感してもらいたいと、試食販売やイベントを実施した。狙いはあたり、「ヨーグルトじゃないみたい」「今までにない舌触り」という感想を得ることができた。そしてこうした活動により、日本国内でギリシャヨーグルトそのものの認知度も上がっていった。

 今年の6月にはクラッカーに『パルテノ』をのせてもツノが立つ、流行りの“マウンテンヨーグルト”を体験してもらうイベントが行われた。マーケティング担当者は「その味や食感に驚いてもらえることが、本当にうれしい」と顔をほころばせていた。

※女性セブン2018年9月6日号

関連キーワード

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン