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空前の「さば缶」ブーム ついにツナ缶の生産量を上回った背景

2018.09.02 07:00

 さば缶の勢いが止まらない。公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会によると、水産缶詰の生産量は、

 さば缶の勢いが止まらない。公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会によると、水産缶詰の生産量は、さば缶がツナ缶を抜いてトップに躍り出た。

 売り上げも絶好調で、水産大手マルハニチロの2018年3月期純利益は2期連続過去最高を更新。同じく水産大手の極洋も、2018年3月期連結売上高は7.7%増の過去最高を達成した。同協会公認の“缶詰博士”の黒川勇人さんが話す。

「現在、過去に例のない空前のさば缶ブームが来ています。あまりに売れすぎるので、大手缶詰メーカーは1年間のさば缶の予定生産量を既に売り切り、追加生産で何とか対応している状況です」

 だが、さば缶がここまで人気となったのは、近年のこと。

「さば缶は、1990年代前半までは家庭の便利な総菜として重宝されていました。特にさばのみそ煮缶は調理せずそのまま食べられるため、夜の晩酌のおつまみなどとして親しまれていたようです。当時はそうした便利な総菜が少なかったのでしょう。

 しかし、1990年代後半からはコンビニが急速に普及し、冷凍食品の質も向上しおいしくなったことで、缶詰の優位性が次第に失われていきました。加えて、安価なツナ缶が増えてきたことも大きな要因でしょう」(黒川さん)

 ただ、さば缶はこれまで、地方の郷土料理に多く使われてきたという。

「例えば、京都の丹後地方のごちそうといえば、さばの味付け(しょうゆ煮)缶をそぼろ状に炒って敷き詰めた『バラ寿司』がありますし、長野北部や新潟上越地方にも、さばの水煮缶とネマガリタケ(山菜)を使った『サバタケ汁』があります。毎年ネマガリタケの季節になると、スーパーには大量のさば缶が並ぶのが風物詩になっているんですよ。その他、沖縄県石垣島の『からそば』や山形の『ひっぱりうどん』など、全国各地の郷土食にさば缶が浸透しているんです」(黒川さん)

 それでもさば缶は、業務用などで需要が高いツナ缶を上回ることはなかったが、2013年7月に転機が訪れる。

 テレビ番組『たけしの健康エンターテインメント! みんなの家庭の医学』(テレビ朝日系)で、さばの美容・ダイエット効果が紹介されたのだ。日本の食文化に詳しい、全日本さば連合会の池田陽子さんが語る。

「この放送をきっかけに、さばブームが起きました。さば缶に含まれる脂肪酸・DHAやEPAが作用し、健康にいいだけでなくダイエット効果もあると、当時女性を中心に話題になったんです。さば缶が飛ぶように売れ、多くのスーパーで品薄になりました。また、同時期に青森県や千葉県、福井県、鳥取県など各地でさばによる町興しも始まりました。さば専門料理店が増えたり、『サバサンド』など洋風さばグルメも注目され、さばがメディアに頻繁に取り上げられるようになったことも、さば缶ブームに拍車をかけました」

 2017年10月に放送された『名医とつながる! たけしの家庭の医学』(テレビ朝日系)で、血管の老化予防としてさば缶を使ったレシピが紹介されると、ブームはさらに勢いを増した。またこれに加え、「この数年、ツナ缶の原料となるまぐろとかつおの値上げが続いた一方で、さばの価格が安定し、品揃えも豊富だったことが要因として大きい」(黒川さん)という。

※女性セブン2018年9月13日号

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