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2018.09.03 11:00  マネーポストWEB

アメリカで登場の「ゼロコスト投信」 日本でも普及するか?

「信託報酬ゼロ」の投資信託は実現するのか(写真:時事通信フォト)


 資産運用で根強い人気を集めている投資信託(投信)だ。投資家(顧客)が販売会社(銀行や証券会社)を介して資金を運用会社に信託。“その道のプロ”であるファンドマネージャーが国内外の株式や債券に投資し、その収益が分配される仕組みだ。元本保証はされないが、商品によってはリスクを抑えたものもある。

 投信と切っても切れない存在が、「購入時手数料」と「信託報酬」という2つのコスト。とくに後者は運用にかかる手数料のことで、保有期間中ずっと運用会社や販売会社に支払い続ける。この信託報酬をめぐって、海の向こうで、革命的な商品が登場した。

「世界有数の資産運用会社『フィデリティ』がこの8月、アメリカの投信市場に信託報酬がゼロの商品を投入しました。世界初の試みで話題を集め、新規顧客獲得の呼び水にもなっている」(ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏)

 投信には、大きく分けて「インデックス型」と「アクティブ型」がある。

「日本市場で言うと、インデックス型は、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)、債券の指数などに値動きが連動するもの。対してアクティブ型は、ファンドマネージャーが状況に応じて投資先を機動的に入れ替え、指数を上回る運用を目指すものです」(楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏)

 実は運用会社が投信を指数に連動させる場合、莫大な額の利用料を、日本経済新聞社や東京証券取引所などの提供元に支払っている。そのため、運用会社は信託報酬で恒常的な収入を得る必要があるわけだが、「フィデリティ」はこの指数を自社開発することで利用コストをなくし、“ゼロコスト投信”を生み出したのだ。

◆「運用会社はどこかで利益を出さなければならない」

 年率で表わされる信託報酬は、実際には日割りで計算され、毎日1回投資資金から引かれている。

「少額でも、毎日毎日お金を取られているかと思うと……。信託報酬ゼロの商品が出るなら、ぜひ試してみたい」

 個人投資家からそんな声が聞こえてくるのは当然だ。

「フィデリティ」の商品は、現在日本で購入することはできない。日本の市場にゼロコスト投信が登場することはあるのだろうか。前出の深野氏は「いくつものハードルがある」としながらも、実現の可能性を示唆した。

「販売会社に払うコストがなく、顧客と直接やり取りするネット証券大手の楽天やSBIならあり得るかもしれません。特に楽天なら、“川上”で商品を開発する運用会社から、“川下”で売買する証券会社までをグループ内に持つ。三木谷浩史会長兼社長が、“楽天指数を作るぞ”とチャレンジ精神を発揮して開発に乗り出す可能性もある」

 では、仮にゼロコスト投信が生まれた場合、購入にあたってどこに注意すべきなのだろう。

「指数の有用性を見極める必要があります。要は、新たに作られた指数を過去の市場の動きに照らし合わせて、仮にその指数を使っていたら、どれくらい運用益を出せたか、というシミュレーションを行なった上で買うかどうか決めるのがよいのでしょう」(深野氏)

 篠田氏が続ける。

「慈善事業ではないので運用会社はどこかで利益を出さなければなりません。売買手数料の上乗せや、短期間で解約した場合にペナルティ料金を支払わせるとか、そういった“別の回収方法”が組み込まれるかもしれないので、注意したほうがいいでしょう」

◆さらなる引き下げ競争も

 ただ、それでもゼロコスト投信に期待してしまうのは、日本の投信市場でこれまで指摘されてきた“手数料の高さ”という問題を解決する動きが進んでいるからだ。

 昨年4月には森信親・金融庁長官(当時)が、手数料ビジネスで稼ぐ金融機関の体質を厳しく批判。さらに今年1月にスタートした「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」が追い風になった。「つみたてNISA」は金融庁が「顧客本位」という原則に基づいて選定した対象商品(投信、ETF)に限って節税メリットを受けられる。対象商品は、購入時手数料は必ずゼロで、信託報酬も安い。手数料の低い投信が評価される機運が高まっているのだ。

 結果、現在の日本市場にも、ゼロコスト投信に準ずる信託報酬の安さを売りにした商品が存在する。深野氏と篠田氏が注目する3商品を別掲した。いずれも「つみたてNISA」の対象商品である。

 今後、さらなる引き下げ競争が起きることも予想される。「信託報酬がゼロに向かう投信」をどう活用していくかが、資産運用のポイントとなるだろう。

※週刊ポスト2018年9月7日号

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