当時はアナウンス室でも、男女の役割ははっきり違っていたという。
「昔のフジテレビは、男性アナウンサーがアナウンス室に入ってきたらお茶を出す。それが新人女性アナウンサーの仕事でした。時代錯誤かもしれませんが、それによって距離が縮まったり、呼吸感がわかったり、コミュニケーションのきっかけになっていたことも事実。一概にこうした構図が悪いとは言えない部分もありましたね」(寺田氏)
現在、『直撃LIVEグッディ!』(フジテレビ系)のMCを務める安藤優子(59)のように、バリバリと前に出て確固たる地位を築いた女性キャスターは確かにいるが、あくまでもそれは少数派。女子アナがメインを張る番組は増えてきたものの、テレビ界にはいまなお男女キャスターのギクシャクは生じるようだ。
自身も畑恵氏(56)や田丸美寿々氏(66)らと衝突を経験したキャスター・鳥越俊太郎氏(78)が語る。
「キャスターも人間ですから、性格も主義も経歴も違う。ぶつかることは当たり前。それがプロ意識によるものなら、いくらでもケンカすればいいんです。
どちらかが上に立つような関係だから、揉めてしまう。局側も『メイン進行は男性』という古い考えは捨てて、キャスター同士のケンカすら“番組の糧”だと思える余裕があれば、テレビ界も良くなっていくはず。軋轢の一切ない番組なんて、つまらないですよ」
※週刊ポスト2018年9月14日号