日本の若者は、新卒採用という雇用慣行により大きなメリットを得ている。これは一種の社会保障と言ってもいいかもしれない。
かつて就職氷河期、超氷河期と言われた時代があった。ロストジェネレーションと呼ばれた若者の多くが非正規雇用となった。彼らは所得も低く、結婚も難しく、健康状態も悪い。将来は生活保護を受給する可能性もある。これは彼らにとっても、社会全体にとっても不幸である。
このような悲劇を繰り返さないことを私は願っている。グローバル競争を勝ち抜くうえで、企業にとっては新卒採用と日本的雇用システムの見直しはもちろん必要だが、社会全体から見れば、最大限、慎重におこなうべきである。
●ふくしま・なおき/1966年長野県生まれ。就職コンサルタント。上智大学文学部卒業後、大手広告会社勤務を経て、1993年より就職に関わる執筆、講演活動、学生の就職支援を行う。最新刊に『学歴フィルター』(小学館新書)がある。