芸能

速見コーチの“暴力指導”は「世代間連鎖」によるもの?

速見コーチ自身も暴力的指導を受けて育った

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人やトピックスをピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、パワハラが取り沙汰されている体操の速見佑斗コーチの記者会見に注目。

 * * *
 宮川紗江選手に対する暴力行為で、日本体操協会から無期限の登録抹消処分を受けた速見佑斗コーチが9月5日、謝罪会見を開いた。東京地方裁判所へ地位保全の仮処分を申し立てていたものの、それを取り下げ、処分を受け入れた上での会見だ。

 会見場に姿を現した速見コーチは、深々と頭を下げて席についた。フラッシュを浴びるその表情は硬く、背筋を伸ばして座りながらも、肩には力が入っているように見える。かなり緊張していたのだろう。冒頭、謝罪の言葉を述べながら息継ぎをする度に、その肩が大きく上下していた。

 宮川選手や体操関係者らに対して、謝罪の言葉を述べてから3度頭を下げた速見コーチ。「暴力行為はどういう理由であれ、決して許されることではない」と話し、今後、どんな小さな暴力であっても行わないと誓った。

 速見コーチ自身、現役時代に「そういった(暴力を交えた)指導を受けていた」とし、暴力は指導の一環かと問われた際には「そういう認識を持っていた」と真っ直ぐ前を向いて語った。自らの経験から体操競技の指導法を学び、それを自分の指導スタイルとしてきたことがわかる。そこには指導方法だけでなく、パワハラや体罰という「世代間連鎖」が起こっていたのだ。

 世代間連鎖とは、親から学んだことを、無意識のうちに自分も同様に行うようになること。中には、好ましいことも好ましくないことも含まれる。ある時、自分の子供や目下の人に対して、親と同じような怒り方をしていることに気付いて驚いた、なんてことがあれば、それは世代間連鎖だ。問題のある家庭なら、それは親から子供へ受け継がれ、同じような問題が繰り返されることになる。家族問題で使われることの多い心理学用語だが、指導者と選手という密接な関係ならば、やはり世代間連鎖も起こりやすい。

 体操競技は、ひとつ間違えば命に関わる大けがにつながる。速見コーチもそのように指導されてきたため、危険な場面ではそれだけ厳しく指導する、叩いてでもわからせるという認識があったという。宮川選手自身、会見で、暴力を受けた時の状況を「技の途中で力を抜いてしまうことなど、大けがや命に関わるような場面」と語っており、怒られても仕方がないと理解していたと話す。暴力が容認されるような危険な場面と強い信頼関係があったからこそ、パワハラとも体罰とも捉えられていなかったのだ。

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン