• TOP
  • コラム
  • 同じ災害に遭っても自治体により支援体制に大きな格差が出る理由

コラム

2018.09.09 07:00  マネーポストWEB

同じ災害に遭っても自治体により支援体制に大きな格差が出る理由

同じ災害被害でも支援体制に格差が出る理由とは(写真:時事通信フォト)


 常に大規模な自然災害と隣り合わせの日本人は、災害が起きることを前提に暮らしていかなくてはならない。

 被災からの再起を図る上でとりわけ重要となるのが「お金」だが、“手助け”となる制度もあることが十分に意識されているだろうか。

 被災した家を解体して建て直すか、補修して住み続けるか──そうした決断をする際に頼もしい支えとなるのが、「被災者生活再建支援制度(以下、生活再建支援制度)」だ。

 この制度では、第1段階として住宅の被害の程度に応じて受け取れる「基礎支援金」が、全壊=100万円、大規模半壊=50万円。さらに第2段階として、住宅の再建方法に応じて受け取れる「加算支援金」が建設・購入=200万円、補修=100万円、賃借(物件に移り住む)=50万円と上乗せされ、最大で合計300万円のお金を受け取ることができる。

 ここで重要となるのが、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の4段階に分けて認定される判定の正確さだ。

 仮に「全壊」の住宅を解体して新たに「建設」すると合計300万円のお金が受け取れるわけだが、誤って「大規模半壊」と判定されてしまい、再申請もしていないと、建て直しても、合計250円しか受け取れない。50万円の違いが生まれるのだ。

 同じ災害で被害を受けても、支援を受けられる人と受けられない人が存在する。日弁連災害復興支援委員会委員長の津久井進弁護士が指摘する。

「本来は“同一災害・同一支援”であるべきですが、生活再建支援制度が適用されるのは自治体単位で、〈10件以上の住宅全壊被害が発生した市町村〉など一定の適用要件があります。その条件に満たなければ、制度上の支援額は“0円”。支援を受けられる被災者との間で大きな格差が生じることになっています」

 実際、西日本豪雨で住宅が被害を受けたのに、生活再建支援制度から漏れた例が、兵庫県淡路市にあった。

「地盤の一部が大雨で流出し、家が宙に浮いたある一軒家が全壊と判定されました。ですが、市内で全壊はこの世帯のみだったがために制度の対象外。県独自の支援策の対象にはなりますが、上限は生活再建支援制度の定める半額の150万円に止まります」(全国紙記者)

◆毎年5000円の掛け金で最大600万円戻ってくる

 そうした支援格差を穴埋めするため、補完する方策を設けている自治体も少なくない。埼玉県など複数の自治体では、生活再建支援制度が適用されない場合を想定し〈全壊世帯が1世帯でも生じた災害〉で、300万円を上限に支給する制度がある。

 原則として生活再建支援制度と各自治体の制度を二重で利用することはできないが、千葉県などでは別途、全壊世帯が10万円を受け取れる「災害見舞金」を設けている。

 兵庫県では、阪神・淡路大震災の10年後に「県住宅再建共済制度」を創設した。加入者限定ではあるが、年額5000円の掛け金で住宅を再建する被災者が最大600万円を受け取ることができ、「生活再建支援金と合わせると、合計最大900万円を受け取ることができる」(前出・津久井氏)という手厚い構えになっている。

 自分の住む自治体にこうした独自の支援策があるかどうかは、あらかじめ確認しておきたい。

※週刊ポスト2018年9月14日号

関連記事

トピックス