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いじめやDVから身を守る録音・録画の準備、実践、保存法

使用する状況をシミュレートし、予行練習を(イラスト/飛鳥幸子)

 いじめ、DV、ご近所トラブル、はたまた詐欺などから自分の身を守る、録音・録画。しかし、録音・録画は相手に知られたら、それ以上録れなくなる可能性が高い。また、音声が聞き取れなければ証拠になりづらいという問題も。そこで、必ず証拠として使えるよう、上手に録音・録画をするためのやり方を紹介します。

◆STEP 1:準備
 録音や録画は相手に気づかれたらそこまでだ。では、どうしたらいいか? 長年いじめ調査に取り組んできたT.I.U総合探偵社の阿部泰尚さんはこう語る。

「録音や録画をする状況を想定し、どこに隠して使えば、相手に気づかれず、かつ、きれいに録れるか、歩き回っても機器を落とさない場所はどこかなど、あらゆるシチュエーションを想定し、予行練習しておきましょう。最終的には機器を見ないでも操作できるようになってから使うのがおすすめです」

 最新のICレコーダーの性能は高く、小さな物音も拾う。阿部さんや元警察官で現在は危機管理コンサルタントの佐々木保博さんら、達人が行う方法はこうだ。

 ゴムがきつめの靴下の中にICレコーダーを入れ、マイクのある上部を数cmだけ出しておき、ズボンのすそで隠す。こうするとマイクに布が当たる“擦れ音”で音声が消されずクリアに聞こえる。スカートの場合は、ストッキングに挟んで使おう。また、かばんの内ポケットや化粧ポーチの中に入れてもいい。

◆STEP 2:実践
 録音・録画する時は、誰とどこで話しているのかを明確にすることが大切だ。

「話している人の名前が出てこないと、せっかく録っても“それは私の声ではない”などと否定されることは実際によくあります。音声解析をしようにも費用が高いため、結局泣き寝入りすることに」(阿部さん)

 最初に録音・録画する日に放映されたニュース番組などを録って日付や時刻がわかるようにし、「○○さん、体育館に呼び出すなんてどうしたの」など、話し相手の名前や場所も必ず入れること。

 また、「ここ」「あそこ」「あなた」などのあいまいな指示代名詞は使わず、できる限り固有名詞を使うよう心掛けよう。

「ただ、あまり意識しすぎると会話が不自然になるので、事前に会話を想定し、練習しておきましょう」(阿部さん)

 入れてはいけないのは自分にとって不利な発言だ。レイ法律事務所の弁護士・松下真由美さんはこう言う。

「例えば、夫とその浮気相手と3人で慰謝料の話し合いをしている時に、“別れることを書面にしないと、会社にバラす”などと言うと脅迫になります。せっかく、不倫を認めた証言を録音して提出しても、逆にこちらが訴えられる恐れもあります。また、モラハラ発言を録音しても、売り言葉に買い言葉で、自分も暴言を吐けば、モラハラが認められないこともあるので、言葉遣いにはくれぐれも注意しましょう」

 録音・録画中は気を抜かないことが大切だ。

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