『きょうの料理』(NHK・Eテレ)はじめメディアで人気の日本料理研究家。「ばぁば」こと、鈴木登紀子さん(93才)に、後世にも残したい夏バテに効く和食を聞いた──。
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みなさま、ごきげんよう。ばぁばでございます。今年の夏は文字通り“酷暑”でございました。気温40℃超えなどと聞きますと、クーラーの効いた自宅にこもっているにもかかわらず、急にさっぱりしたものが食べたくなるのは不思議です。
夏こそはスタミナのつくものを食べましょう…と申しますが、実際は屈強な殿方でもない限り、そうそうお肉ばかりも食べられません。
微々たる数値ながら“食べる”という動作もカロリーを消費するのだそうです。こってりしたお肉料理を食べるのにも体力が必要…という、鶏が先か卵が先か、堂々巡りなお話ですわね(笑い)。
夏の疲れが出てくるこの時期はなおさら、栄養があって消化がよく、口当たりのよいもので体を労ってあげたいもの。そこでおすすめしたいのが、「鮭の南蛮酢」と「まぜまぜご飯」です。
「鮭の南蛮酢」は甘みの入らないさっぱり味の南蛮酢で、鮭と一緒にお野菜もたくさん食べられる一石二鳥のお料理。鮭のお安いときに多めに作っておけばよろしいの。4~5日は冷蔵保存も可能です。
くれぐれも、鮭を揚げ油に入れたら、菜箸で突いたりせわしなく返してはダメよ。揚げものはすべからくそうです。もしもあなたの唐揚げや天ぷらがおいしくないのだとしたら、それは“待てない”あなたのせいです(笑い)。
一方「まぜまぜご飯」は、読んで字の如し、梅干し、じゃこ、のり、白ごまをご飯と混ぜるだけのお手軽ご飯です。でもね、このまぜご飯は侮れないのよ。どなたにも気に入っていただけるお利口さんなの。冷めてもなお美味、お茶漬けにしてもおいしくいただけます。
【作り方】
◆鮭の南蛮漬け(4人分)
(1)生鮭4切れは、1切れを5切れ程度に薄くそぎ切りにし、塩こしょうする。
(2)長ねぎ3分の2本は3cm長さのブツ切りにし、芯を除いて5mm幅の短冊切りにする。セロリ1本は筋を取り、にんじん40gは皮をむき、それぞれ4cm長さ5~6mm幅の短冊切りにする。
(3)バットに南蛮酢の材料【酢3分の2カップ・だし汁1カップ、塩小さじ1、薄口しょうゆ大さじ1、赤唐辛子(小口切り)1本分】を合わせ、下に南蛮酢がたまるように斜め置きにし、上に(2)の野菜を寄せておく。
(4)揚げ油適量を熱し、ガーゼに包んだ片栗粉適量を鮭にはたきつけながら順に揚げる。南蛮酢に浸し、野菜を順にかぶせて、バットの上方に移す。鮭を揚げ終わったら平らにして野菜で鮭を覆う。
(5)器に盛り、赤唐辛子1本(分量外)を飾る。
◆まぜまぜご飯
(1)梅干し(大)1個は種を除き、包丁で果肉を叩いておく。焼きのり(全形)1枚は小さくちぎる。
(2)水で湿らせた盤台(または大きいボウル)に炊きたてのご飯2カップを移し、しゃもじでほぐす。
(3)白ごま大さじ5、のり、ちりめんじゃこ約50gを散らし、盤台を回しながらサックリと混ぜる。梅干しの果肉をところどころに少しずつのせ、さっと混ぜる。
撮影/近藤篤
※女性セブン2018年9月20日号