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2018.09.17 07:00  マネーポストWEB

世帯年収と子供の学力、比例するのは「年収1200万円」まで

「世帯年収」と子供の学力の関係

《秋田が学力トップ! その驚くべき秘密とは?》《大阪市は2年連続ワーストを更新》──今年7月末に公表された「全国学力・学習状況調査」(通称・全国学力テスト、2017年度)の結果はそう話題となった。2007年から毎年4月、全国の国公私立の小学6年生と中学3年生延べ200万人を対象に実施されてきた国語と算数・数学の一大テストは、約50憶円の国費が投じられるビッグプロジェクトで、全国の教育者からの注目度も高い。

 2016、2017年度の学力テストで「2年連続、政令指定都市内で最下位」と、不名誉な注目を浴びた大阪市長は事態を重く見て、テスト結果を校長や教員のボーナスに反映する方針を示した。

 教育現場が結果を巡って白熱する一方で、テストに付随して行われた「保護者アンケート」の存在はあまり知られていない。これまで、2013年度と2017年度の2度のみ、実施された。教育ジャーナリストのおおたとしまささんが言う。

「学力テストは都道府県別や市町村別のランキングばかりが注目されますが、実は『保護者アンケート』からも多くのことが読みとれます」

 アンケートの対象は、テストを受けた小6と中3の保護者から無作為に抽出された12万人。「両親の学歴」「所得」「就業時間」といった家庭環境や経済状況を尋ね、子供のテスト正答率との相関関係を調べたものだ。調査にあたったお茶の水女子大学文教育学部の浜野隆教授が解説する。

「分析の結果、子供の学力に影響を与える要因は、本人の努力や学校の在り方だけでなく、保護者と家庭環境の影響が強いことを実感しました。もちろん学校教育も大切ですが、学校は“すべての子供に平等な教育をする”という建前がある。基本的にクラス全員が同じ時間、同じ内容の授業を受けるため、それ以外の時間をどう過ごすかが、学力に大きく影響するのだと思います」

 調査結果は242頁に及ぶ報告書にまとめられた。膨大な報告書をひもとくと、子供の学力を決定する数々の「不都合な真実」が見えてきた。

◆中3の数学Aでは正答率に20%以上の差

 小6・中3とも、親の収入に比例して子供の学力が高くなるという結果が、今回、明白に示されたのだ。特に、世帯年収と学力の差が顕著だった中3の数学Aでは、「世帯年収200万円未満」の子供の正答率が51.2%だった一方、「1000万~1200万円」の子供の正答率は74.3%に達した。

前出のおおたさんは、世帯年収と子供の学力が本当に示すのは「日本社会の格差」であると指摘する。

「高い年収を稼げる親は、偏差値の高い学校を出た高学歴の人が多い傾向にあります。理由は、今の日本社会のシステムでは、一流大学を卒業した高学歴の人間ほど一流企業に入っていい仕事を得るチャンスに恵まれ、結果として収入が高くなるから。その一方で、例外はありますが大学中退など途中で道がそれてしまえば、就職試験すら受けられない会社も多い。親の格差が、子供にも受け継がれてしまう風潮が、このデータから読み解ける」

 もちろん、親の収入が多ければ、塾や家庭教師にお金をかけることで、学校の授業だけを受けるよりもさらに大きな学習効果を得られるという側面もある。大手中学受験塾で1年にかかる費用は平均100万円ともいわれており、高収入の世帯でなければ払うのはかなり難しい。東京大学の「学生生活実態調査」によれば、東大生の親の62.7%は年収950万円以上だという。

 しかし、親の年収が高ければ高いほど、子供の学力が上がり続けるわけではない。今回の調査によると、中3では年収1500万円以上の世帯より、年収1200万~1500万円の世帯の方が子供の学力が高かった。

「一定のレベルに達すると、そこから先はいくら年収が上がっても親の能力は変わらず、その結果、子供に与える影響も変わらないと考えられる。年収1200万円の一流企業のサラリーマンと年収3000万円のベンチャー企業社長では、それほど能力に大きな差はないし、お金持ちになるかどうかは運もあります。その境目が年収およそ1200万円ということでしょう」(おおたさん)

※女性セブン2018年9月27日号

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